今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ちょっと怪しいPEN-S3.5

2010年11月09日 18時44分24秒 | インポート

Dscf132919_3 INOBOOさんから、オークションでジャンク入手したPEN-S3.5 #146XXが来ています。3.5の中では部品の変更が進んでいない頃の個体で、スプール下ナットが樹脂製に変更されている以外は2.8の仕様とほぼ同じです。しかし、分解修理を受けていますがシャッターは不調、裏蓋の塗装が本体に比べて劣化剥離が激しく、他の個体からの流用の可能性があります。トップカバー吊輪には、落下によるへこみがありますが、下手くそに裏から叩いた形跡があります。余計なことを・・早速分解してみると、3.5としては、保存状態はすこぶる悪い個体ですね。シンクロソケットのターミナルは半田外れでプレートの表面処理も劣化が激しいです。シボ革は過去の修理時に全て剥離されたようで接着が効いていません。必要最小限を剥離すれば良いのです。

Dscf133255 ダイカスト本体に付いているリンケージ関係の表面処理も状態は悪いですね。シャッターは分解されていましたが、治っていませんね。幸い消耗はそれほどでもない個体でしたので、O/Hは良好に完成しています。

Dscf133365 シンクロソケットのターミナル接片を半田付けをして前カバーを留めますが、真鍮の皿ビス1本が固着して分離に苦労したのです。相当湿気の多いところにあった個体でしょう。何とか分離は成功しましたが。駒数ギヤはご覧の通り、まだ真鍮製の頃です。清掃して裏地を調整しておいたシボ革を接着します。

Dscf133698 巻き戻しダイヤルのレバーを留めるビスが規格外になっていました。これではレバー内側に干渉してしまいます。オリジナルのビス形状には訳があるのです。もちろん純正ビスと交換しておきました。

Dscf134078 これで完成かと思いましたら、INOBOOさんより、裏蓋も塗装すべし。とのご指示です。確かに剥離が激しいですね。3.5の頃の個体としてはちょっと疑問はありますが、断定は出来ません。それではと、シボ革を剥離して劣化した塗料を研磨します。このケースは底蓋の塗装は行いませんので、リベット分離の必要はなく、マスキングで塗装します。

Dscf134164 と言うことで、このようになりました。裏蓋もきれいになりましたね。調子は非常に良い個体となりましたよ。

さて、問題は一緒に来たニコンのガンカプラーを改造せよとか? ニコンなんて知らないよぉ・・

トミーのリペイント


本家からのPEN-FT

2010年11月05日 22時29分20秒 | ブログ

製造ご本家にお勤めのオーナーさんから、かなり使い込まれたPEN-FT #2933XXが来ています。後期に属する個体ですが、2回巻上げ、フィルムの巻上げ不良、ハーフミラー劣化、アイピース破損、裏蓋ロックガタ、吊輪緩みなどがあり、典型的な使用による消耗の症状ですね。

いつものように、完全に分解洗浄の後、組み立てて行きますが、スプロケットとスプールバネを交換しておきます。スプロケットが不良となる個体はスプールのスリップが早い傾向にあります。

使い込まれた個体は2回巻上げの症状が現れますが、この個体も巻上げギヤと軸受けが進んでおり、特に軸受けの前面側の偏磨耗が症状に影響します。充分な潤滑のない状態で、過大に負荷を掛け続けていた結果です。今回は、ギヤもそのまま再使用とします。

シャッターユニット自体のコンディションはそれほど悪くはありません。但し、スローガバナーのメンテナンス不良から、スローが遅く不安定でした。これを改善してあります。ハーフミラーは劣化により新品と交換、露出計の調整をしてあります。

破損していたアイピースは新品と交換、吊輪は再接着取り付け、裏蓋を取り付けてロックガタを調整して完成となっています。外観は、すり傷や塗装のハゲが目立つ個体ですが、不具合は全て修正してありますので、非常に調子の良い個体となりましたよ。ご本家にもFTを使い続ける方がいらっしゃるのです。

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かなり来ているPEN-W

2010年11月03日 22時55分24秒 | インポート

久しぶりにPEN-W #1189XXが来ています。塗装の状態はPEN-Wの中でも悪い方でしょうね。特に裏蓋の剥離が激しく、ファインダーブロックは上面にダメージがあったようで、パテのようなもので成形されて通常塗料で筆塗りされています。シャッター不調でO/Hのご希望ですが、シャッターユニット自体は未分解でしたので、販売のためにファインダーの修復?と対物レンズの清掃をされた(つい最近)ものと思われます。

しかし、外観の悪さに比べてシャッターユニットやレンズの状態は意外に良いのが救いでしょう。特に問題も無くシャッターユニットのO/Hが完成しています。そこで、ターミナルの接片の半田付けがポロッと剥れましたよ。このユニット系のモデルでは、非常に多いトラブルで、銅板の腐食で剥れやすくなるのでしょう。接片を研磨して再半田付けをしておきます。

トップカバーとダイカスト本体との調整ワッシャーがシュー下部分に接着されているため、カバーが前下がりで組まれています。前回の作業者さんは、このカメラをおまりご存知ないのでしょう。調整ワッシャーは駒数計横のビス部分に入るのです。まぁ、本来は入らない方が良いのですが、建てつけが悪いということです。

お世辞にも外観はきれいとは言えませんが、シャッターの調子は大変良いと思います。レンズのコンディションも良好ですから、どんどん実用機として使用して頂ければと思います。

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ジャンク状態の4台

2010年11月01日 17時17分42秒 | ブログ

ご常連さんからPEN-F3台、PEN-FT1台が来ています。どの個体もジャンクに近い状態で、中古屋さんが見切り処分をしたものです。残念ながら1台のFは、シャッター幕(セクター)がクラッシュしており復活は断念して当方で下取りとしますが、FとFT1台づつは復活させる予定です。このような状態の個体を復活させて現存機を守ることも私の役目と思っています。

では、PEN-FT #1804XXから。この個体は湿気の多いところにあった個体と見えて、プリズム腐食や露出メーターの断線があります。巻上げ状態もよろしくないのですが、外観は比較的きれいなため復活させます。スプールシャフトの地板を留める3本のビスのうち1本が変ですね。正規はM1.7ですが、このビスはM2.0です。ビスを観察すると長さを調整するためにカットされています。私以外で、O/Hでこの部分を分離している個体を見たことがありませんが、工場でM1.7のねじ山を壊してM2.0に修正をして救済したものか? とも考えましたが、ファインダーのピント再調整を受けていることから、SSなどでの工作と思います。

露出計ユニットは当方の在庫を使いますので、電池室からのリード線などを新設しておきます。その他、アイピース枠にカケがありますので交換してあります。巻上げに多少のゴリツキは残っていますが、軽くスムーズにはなっています。露出計も作動して調子は非常に良く仕上がっています。

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