今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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難儀が続くPEN-FT(B)の巻

2024年06月11日 18時00分00秒 | ブログ

バタバタしておりまして気が付けば画像を撮っておりませんでした。では簡単にします。カメラ店様からのPEN-FTブラック#3489XX(1970年6月製)と本来でしたら良い頃の個体ですが、何故かカメラ店様からの個体は状態が悪いものが多いと感じます(個人の感想です)。考えてみれば世の中に埋もれているカメラを掘り起こす役目もあるわけですからオーナーさんから依頼されるカメラとは必然的にコンディションが違うのは当然かもしれません。

問題は恐らく長期に渡って革ケースに保管されていたことによる湿気と思われる不具合です。まずはハーフミラーの極端な劣化です。30万台以降の個体では見たことが無い程度。メンテナンス費用の限られる中、何とか清掃で再使用と思いましたが断念しました。新品と交換です。

次は露出計不動。この個体は1975年以降に恐らくSSにて露出計交換を受けていて、基板別体タイプが付いていますが、これが不良となるのは珍しいです。基板の修復により精度はともかく作動はさせましたが・・メーター針が0点に張り付いて動き出さない時があります。針のピポット部の腐食でしょう。何とか調整で動かします。

3つ目の不具合は、巻き上げが異常にゴリつくことです。シャッターユニットをメンテナンスして組んでみると・・巻上げのゴリツキの原因はFTのユニットが途中でバネを強化されたところから始まります。個々には要因はあるのですけどね。それらを修正してもリターンミラーユニットを連動させて負荷を掛けると、とても良品として販売は出来ない(私の基準)です。

問題はテンションシャフトです。右先端部が異常摩耗しているのが分かると思います。地板の軸受けとはこの部分でのみ接触をしています。しかも無給油で・・ルーペで拡大してみると自然な摩耗というよりは部分的にヤスリかリューターで削られたような摩耗です。いつもお話ししていますように、オリジナルの部品を削って修理をすることなど有り得ません。予算が無いのにこれは交換するしかありません。

メーターは何とか作動となりました。

 

 

トップカバーを閉めます。

 

 

付属の38mmも光学系としては同じ条件ですので各レンズのカビ、ヘリコイドグリス抜け、絞り羽根の油がありましたので清掃をしました。結果的にブラックFTを1台世の中に戻せたということですけど工数的には厳しいところでした。

 

トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)

 



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