今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

コンテッサ35をやるよの巻

2020年10月24日 20時30分00秒 | ブログ

カメラ店様からツアイス・イコンのコンテッサ35が来ています。何やらいろいろと手間のかかる予感がします。私たちの年代ですとコンテッサと言えば「日野コンテッサ」なんですね。「伯爵夫人」という意味だそうですが、子供の頃はそんなことは知らないですが、日野と言えば地元の川向こうの街なので親近感があって1300クーペが大好きで、通り過ぎるコンテッサを見送っていました。特徴は何といってもドレーカイル式距離計ですね。不用意にギアトレインを分解すると正確な位置に合わせるのが大変のようです。

露出メーターは不動のものが多いようですが、私の検証したところ通常セレンからの電流取出しはリード線ですが、コンテッサのセレンは金属接片による接触圧力なので接片が腐食すると導通不良になるもののようです。この個体は珍しく作動しています。

 

では、二重像とファインダーの清掃をして行きます。トップカバーの下にもカバーがあって、それを取り外すと長いプリズムが姿を現します。

 

 

巻いてあるテープが本体に固着していますので、無理な力を掛けると破損する可能性があります。慎重に取り出して清掃をします。

 

ファインダーユニットを分離するためには前面ガラスを取り除いた方が良いです。ガラスの清掃もしておきます。

 

ファインダーの先端は別パーツのナットかと思いきや、一体物でした。すると接眼部の四角マスクを倒れないように組み立てるのが困難です。ナット式にすれば良いのに何でこんな難しい設計になっているんだろう・・

 

ファインダーを分解するとこうなっています。結構部品点数が多いです。右端の四角マスクの位置決めが・・

 

 

巻上げダイヤルの中心に巻き戻しボタンがありますが、これを取り除かないとアンダーカバーが取れません。しかし、ボタンが奥にあるのでメガネレンチなどの工具が使えません。ゴムによる接触圧力ではビクともしません。ネットではカニ目を開けて取り除く方法も紹介されていますが、私は別の裏技で緩めます。

スプロケットが回転しないとシャッターが切れない設計のため複雑ですね。

 

 

シャッターは低速不動のため分解が必要ですが、ドレーカイルユニットがあるため本体から分離する必要があります。裏の締め付けナットは非常に固く締まっていてノーズプライヤーなどでは歯が立ちません。急がば回れ、2mm厚の真鍮板から切り出して工具を自作しました。蛇腹があるため寸法は非常にシビアに作らないといけません。

シャッターは普通のコンパーですので省略します。

 

 

回転プリズムの内側がカビていますので分解清掃をします。

 

 

きれいになりました。

 

 

このネジはスリ割りを回すことによってメーター本体を回転させて針の零点調整をするもの。

 

 

こんなSSTを作りました。組立状態では距離リングを留めるイモネジが普通の精密ドライバーではビットが短く届かないため、長いピアノ線の先端を研いでピンバスに銜えてドライバーの代わりとします。

 

コンテッサ35は1950年~1955年までの生産とのことですが、この時代のカメラは革ケースの入ると良い雰囲気ですよね。子供の頃、近所のカメラ好きのお兄ちゃんがおもむろに構えていたような記憶がありまして、大人はいいなぁと思いましたね。その時、撮ってもらったセピア色の写真は今でもあります。

こちらは次の個体。レリーズとシャッターの接続形状の違いで、こちらの個体の方が古いようです。露出計は基本的に不動ですが、受光部を押さえると瞬間的にメーターの針が振れます。

 

先にも書きましたが、セレンからの電流の取出しはリード線ではなく、ピンセット部分の接片の接触圧力によります。接片に振れると全くバネ性がありません。メーター窓の透明樹脂板も見えにくくなっていますので研磨をします。

 

無事作動し始めましたね。しかし、針が最大に振れてダイカストに接触をすると張り付いてしまう現象があります。

 

針の先端がΠ形状でダイカスト側面に引っかかることも考えられますが、静電気が原因の場合も多いのです。私が当時カメラを製造していた時は、このような場合厚紙を接触面に貼って張り付きを防止していました。

 

このように針の張り付きは無くなりました。また、透明樹脂窓を磨いているため、静電気が発生していますので帯電防止液を筆で塗布して静電気を除去しておきます。これも当時の組立現場での対処方法です。

 

シャッターユニットですが、ドレーカイルユニットのカバーを開けようとして4つのネジのうち3つが無くなっています。代用ネジで対応します。

 

シャッターの清掃とドレーカイルのプリズムの清掃を終えて後玉を取付けて本体にセットします。後玉は曇っているものがありますが、この個体はきれいです。

 

最後にフィルムカウンターの送りを確認すると「5」枚以上が送られません。分解をしてみると・・のネジが緩んでいました。また、は駒数ギヤの送り爪(固定用)ですが、錆びついています。中央軸に駒数板が付きます。

 

革ケースの底部には、巻上げダイヤルと連結して革ケース取付状態でも巻き上げが出来るようにしています。

 

 

こちらのケースはトップカバー側がハード仕様となっていて金属枠が付いていますね。このカメラは特殊な機構を備えている関係もあり、分解組立には専用工具を作らないと作業がしにくかったりしました。しかし、各部品の材質や表面処理は素晴らしく、国産の製品とは明らかに品質の違いを感じました。さすがGERMANY製です。

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