先日、きれいなPEN-Dをやっちゃいましたからねぇ。比較するのは可哀想な初期型のPEN-Dです。オーナーさんは「縁あって手元に来たので使ってやりたい」とのことで、このような方は多いです。日本人はやさしい民族だなぁと感じますね。確かに手間はかかりますけど大丈夫。好きで程度を落としてきたんじゃないのです。一生懸命に治します。でもばっちい。シャッターは眠い状態。
PEN-Dの生産開始は1962-6月とのことですから、この#1243XXは1962-10月製と半年ぐらい経過した頃の初期型です。トップカバーがへこんでいます。D系はこれが多いです。
何かUPが長くなりそうな予感がします。露出メーターは感度低下です。基板のない調整抵抗のみの初期型ユニット。
オーナーさんからは巻き上げが重いとのご指摘。確かにD系はSWなどと比較して余計なリンケージやリターンスプリングが負荷となっていますので重いのです。しかし、ちょっと重すぎの感じはします。スプリングが折れていますね。
過去に分解を受けているシャッターです。作動が非常に重く、羽根がゆっくりと開閉します。れれっ、後玉が曇ってますね。
結構腐食が来ています。その他、裏蓋などの塗装部分の剥げと錆が進んでいます。
ちょっと、見にくいですが、D系は後玉が曇ります。清掃では取れません。
シャッターの作動が緩慢なのはシャッター羽根の油の問題ではありません。
左側の磨き軸が命です。ここが腐食しているものは万事休す。
では、全て超音波洗浄をした後、組み立てて行きます。基本的には悪いシャッターではありません。
O/Hをしたスローガバナーをセットします。
後玉はあれでは仕方ないので、こうしておきました。
お約束の栄発動機。今回は発動機架付とかいっちゃって・・
本体の組立。まずは折れていたスプリングを交換取付けをしないとスプール軸が付きません。
分解時、かなりの確率で半田付けが取れるターミナルを再半田しておきます。
露出計は調整抵抗を取り去ってもまだアンダーですね。比較的丈夫なD系の露出計ですけど、流石に初期型はきびしいところ。ユニットの留めネジは真鍮3本。その後、左下のネジは省略されて孔加工もされなくなります。D2,D3では、導通確保のため片方が鉄ネジになります。
トップカバーのへこみは修正しました。接眼部の遮光モルトを貼っておきます。
で、シャツターリングを仮付けして回転させてみると、8 B 部分で回転が異常に重くなる。原因を探って行くと・・これでした。カム板の山を調整(シャッタースピード)するため工具で潰してあるのですが、内径から飛び出しています。この部分がシャッター本体に接触するのです。シャッターリングを取付けて回転させれば回転ムラは顕著に分かりますが、シャッターユニット単体での供給では不具合が発見出来なかったものかも知れません。
まぁ、いいや。修正によってスムーズに回転するようになりました。どうして、性能は先日の極美品と変わりません。初期型ですから、取説も初期の版ということで。
手間の掛かる個体でスミマセン。
またお願いすると思いますが宜しくお願いします。
楽しみに待ってます!
いえ、初期型の年代相応というところで、素性の悪い個体ではありません。コパルでのカム板の不具合が、なぜオリンパスの組立で発見できなかったのか?の疑問は残りますが・・私も昔はカメラの製造の携わっていましたが、工業製品はすべて良品とは限りません。ある確率で不具合品が市場に出て行きます。