今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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女性PEN使いさんのSOSの巻

2023年12月25日 10時00分00秒 | ブログ

定期的に女性PEN使いさんからSOSが入りますね。今回の状況は、「ファインダーで精密にピントを合わせてもピンボケの写真になる」というもの。リターンミラーの再接着はされていないかの質問に「修理屋さんで貼り直しています」とのことでした。

当方でフィルム面とファインダーのピントを確認すると、やはりファインダー側がかなり前ピンとなっていて、調整ポイントを確認すると調整範囲を超えていることが分かりました。このカメラはファインダーの調整範囲が狭く、工場で組み立てたままの個体であっても、調整範囲ギリギリで調整が取れている個体もあるので、ミラーや接着の不適当によって調整が取れないケースがあります。

それでは、リターンミラーを取り出すために分解をしていきます。

 

 

前板からリターンミラーホルダーを分離しました。

 

 

すでにリターンミラーは純正から張り替えられていましたが、問題は使われた接着剤のようです。おそらくセメダインのスーパーXかと思いますが、この接着剤は硬化後はゴムのような弾性となり接着厚が厚くなる傾向があります。

当方の新しいリターンミラーを純正と同じ方法で接着をしました。前板にリターンミラーを取り付けてからスクリーンやミラーユニットを組み立てて行きます。

 

完成した前板を本体に取り付けます。その前に、シャッターユニットの点検とチャージギヤにモリブデングリスを塗布と注油をしてあります。

 

ハーフミラーはコストの関係でオリジナルを再使用とします。

 

 

メカの組み立て終了。無事、ファインダーの無限調整が取れました。

 

 

PEN-FT #2481XXと中期頃の個体ですが程度は悪くはありません。「リターンミラーの剥離」はこのカメラの持病ですから、どの個体にも起きる可能性があります。その場合は正しい基準で再接着と無限調整が必要です。

(追加します)完成の点検をしているとフィルムカウンターが戻らない不具合。ギヤ類はちゃんと洗浄して組んであるはずなのに・・原因はモルトです。純正では部分にある裏蓋を開けた時に駒数ギヤを開放するピンがありますが、その右側のみモルトが貼ってある仕様ですが、この個体は左側も通して貼られています。ピンの動きが干渉でスムーズに動かないのです。このようにモルトを貼る方もいますが、「過ぎたるは何とか」で不具合の原因にもなり得ます。

ターミナルにリード線をネジ留めするのに空回りをして締め込めない。

 

 

これは樹脂の絶縁体がのカシメが緩んで空回りをしているためです。これは良くある不具合でグリコのおまけのようなチープな品質です。再カシメをします。

 

最後にストロボの発光テストをして完了です。

 

 

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