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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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キヤノンデミSのメンテナンスの巻

2023年12月21日 20時00分00秒 | ブログ

もうすぐクリスマスかぁ、すぐに新年が来ますね。直接のご依頼カメラが溜まっていて、今年中にすべては無理となりましたが頑張ってやります。レンズはPEN-FT用ズイコー40mm。レンズに小さなカビと絞り羽根に油が回っていますので清掃しています。使用されたレンズの割にはレンズなどの状態はよろしいです。

これはキヤノンデミのSの方ですね。1.7の大きなレンズが付いています。カバーはデミと同じ最中構造ですが、レンズの関係で上下にも分割されています。デミは何をするにもシボ革を剥がさなければなりません。

 

このカメラはシャッター羽根の張り付きで故障となっている個体が多いですね。シャッタースピードは1/500~1/8 B と高速側が有利で下は1/8なのでスロー不調は起きにくいです。

 

セイコーシャLの内部はきれいです。各部の洗浄とガバナーに注油、ヘリコイドグリスが完全に抜けていますので洗浄してグリス交換をします。

 

ケブラー実像式ファインダー。倒立像を正立像に戻すため豪華にプリズムが使われていますね。レンズも含めて曇っている個体も多いですが、この個体の状態は良好です。


シャッターユニットとファインダーを本体にセットしました。ファインダーは約7mmオフセットされています。

 

このネジはシャッターダイヤルのクリックバネ留めも兼ねているので、クリック感を調整しながら締めます。

 

巻き上げ機構の清掃とグリス塗布をした本体に露出計ユニットをセットして上カバーを取り付けます。

 

裏蓋のモルト交換。デミ、ダイヤル35とオートハーフのモルト貼りは意外に面倒で苦手です。そのため型紙を作ってあるのでモルトを切り出します。

 

こんなところですね。裏蓋を本体に取り付けます。

 

 

取り付けるとこんな感じ。

 

 

発売は1964年9月とのことですから東京オリンピックの開催前月ですね。今見ても古さを感じさせない可愛らしいデザインは秀逸。一方の雄、PENは工業デザイナーでもある設計者、米谷さんの人間工学から来る合理的なデザインで、それはそれで素晴らしいですが、女性をターゲットとしたデミはキヤノンのデザイン力を感じます。しかし、この時代の常で、明るい30mmf1.7の大きなレンズ搭載のお陰で、重量は重くなり、初代28mmf2.8のように気軽にポケットに入れるという分けにはいかなくなったね。後にレンズ交換可能のデミCも登場してきます。

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