今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ご常連さんのPEN-Fの巻

2020年04月14日 20時35分00秒 | ブログ

九州のご常連さんから、久しぶりにPEN-F #2450XX (1965年11月製) が来ました。ミラーアップ状態ですが、特に問題はない個体と思います。

 

とは言ってもPEN-Fは古いですからかなりの汚れや劣化がありますね。付属の38mmも絞り羽根の復帰が悪いですが、油付着以外に、ギコギコと作動の度にバネの擦れる音がします。アトカバーとリターンスプリングの距離が近いため、接触をしていると絞り羽根の動きも影響を受けます。カメラ、レンズ共分解歴があります。

ファインダーもそれなりに汚れていますが、プリズムの腐食は無いようです。24万台ですから助かっていると思います。

 

テープの貼り方で分解されていることが分かります。調べてみると前回修理をした修理屋さんのシールが貼ってありました。

 

問題は、拡大ルーペを振るとレンズがカタカタと音がします。レンズのナットが締まっていないのです。

 

しかし、リングナットが緩んだ形跡がありません。(固着しています)え~、これはピントに問題ありますね。工場での不具合か、修理屋さんの作業かはリングナットがきれいなので判断できません。

 

カギイタAの動きが固く裏蓋のロックが飛び越しています。いろいろありますね。

 

では。洗浄をして組み立てていきます。

 

 

問題はシャッターユニット。シャッター幕の地板がヤスリ掛けをされていて、本体側との組立ネジ(スリ割り)の殆どを削られているためネジが外れません。なんとか外しましたが・・工場でも生産初期の個体では追加工をされている部分もありますが、24万台ではまずないと思います。削る必要が思いつきません。

ブレーキは殆ど利いていませんが、今回はこのまま使用します。

 

 

ミラーユニットの固着やプリズム他を洗浄したところ。

 

 

フレネルレンズを洗浄したところ。白い曇りがあります。これは、モルトをゴム系接着剤で貼る時に樹脂を侵したため。

 

本体と前板関係が完成しました。

 

 

非常に安定して調子は良好です。

 

 

問題のルーペですけどね。振るとカタカタとレンズが動きます。しかし、リングナットが緩んだ形跡はありません。事実、この後の分解でもリングナットがスムーズに回転せず苦労しました。

 

分解をしてみましたが、部品に問題はありません。ビューファインダーに切ってあるリングナット用のネジは、非常に雑な加工で、リングナットがスムーズに締め込まれないことが多いです。この事から残念ながら工場での組立不良と推測します。締め込みの途中で止まったため、完全にレンズを締め込んだと思い込んだのでしょう。

接眼プリズムのコーティングは残念ながら劣化で曇っています。取り除いた方が良いかと思いますが、今回はこのままとします。

 

画像はホワイトバランスが補正されていますが、白の色入れが手垢で茶色になっています。このような汚れ方は古いPEN-Fに多いです。洗浄しておきます。

 

で、一応組立完成。最後にファインダーの無限調整をしましたが、ここで問題発生。調整個所は工場でネジロックされたまま、途中で再調整をされた形跡がないのに、まったく無限が来ていません。しかも、狭い調整範囲一杯でも無限が来ない。これは、不良のルーペのままで無限調整をされたのでしょう。結局、前板を再分解で無限が出るように組み立て直す必要がありました。

38mmの方ですけどね。作動の音を聞けば、分解しなくても何が起きているのかは見当が付いていました。連結バネが変形していてリヤカバーと接触をしているため擦れ音を発生しているのです。これが抵抗となって絞り羽根の復帰がスムーズに戻らない症状となります。原因? マウント部との組立にはコツが要りまして、それを知らない方が無理に押し込んだのでしょう。

このように変形しています。これは修正が出来ません。

 

 

その他、絞り羽根の洗浄、後玉の清掃。

 

 

前玉の清掃。

 

 

いやはや、いろいろ問題があった個体ですが、本来は工場を良品で出てはいけない個体だと思いました。まぁ、緩んだレンズに合わせて無限調整をされていたので、意外に問題は起きなかったということでしょうかね? 知らんけど・・

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