希少なPEN-D2 #1740XXですけどね。「カメラの何とか」さんで購入されて使用されていたようです。外観はきれいな方ですが現状はシャッター停止。
劣化が進みやすいダイヤル類は非常に良い状態です。ただし、ヘリコイドが何でこんなに硬いの?
カニ目と駒数板の停止位置から過去に分解を受けていると・・
微妙に1時付近が歪んていて化粧プレートが抜けません。
ナットの緩み止め塗料より締め込まれていますから分解確実。
あら~、この大量のヘリコイドグリスは何だ! すぐ直後にシャッターユニットがあるのですから、グリスは極力少量に留めて置かなければなりません。これはすべて分解脱脂です。
ヘリコイドグリスが流化して絞り羽根に侵入し、それがシャッター羽根にまで浸み込んで停止となりましたとさ。絞り羽根も完全に分解脱脂が必要です。
これは何だ! スローガバナーに白い粉が着けられています。これはアマチュアさんの世界で用いられる潤滑剤(良く知りません)なのだそうです。しかし、これを最初に提唱した人は誰ですかね? こんなもので直りませんよ。後始末をする者の身にもなってください。
私は良く知りませんが、テフロン系のような成分でスプレーで噴霧するのでしょうか? 古い機械でフリクションが増大している場合、一時的に作動が回復することはあるかとは思いますが、精密光学機械に、このような種類の潤滑剤を使う発想が間違っています。
絞り羽根部分をすべて分解して洗浄をします。ここは、慣れていないと組めなくなることがあるので皆さんは分解しない方が良いです。
D系はメインバネが強化されていますのでシャッターが止まることは少ないのですが、止まったのでしょうね。シャッター羽根が開いた状態で閉じない症状となっていたと見えて、リターンスプリングを弱く曲げてあります。どのバネが見つけてね。
お陰でシャッターユニットだけで一日経過してしまいました。
シャッターユニットとグリスを入れ替えたヘリコイド部を合体させて完成。D系は後玉の曇りが持病ですが、この個体はきれいです。
本体側を組み立てます。
本当にこの個体はレンズがきれいですね。
ファインダーを清掃をした露出メーターをセットして完成させます。右は私の資料用D2で、今回の個体とシリアル№が近いです。カタログを見るとPEN-D,D2,D3が1枚のカタログに載っていて、併売をされていたことが分かります。それぞれの価格はDは¥13,000 D2は¥15,000 D3は¥15,500となっています。この価格差ですとD3を選択される方が多かったのではないですかね? 今回のような無茶な修理を受けていると、通常の使用過程機と比べてリカバリーのための工数がすごく掛かるんです。リペアマンとしてはババを引いてしまった感もありますが、まぁ、良い状態に戻せて、その点からすると良かったと思いますね。また、お子様の良い写真を撮ってくださいね。