カメラ店様から以前に来ていたペトリ・カラー35のクロームボディー2台です。手前の方が見かけの程度は良いが露出計は不動。後ろの方は部品取りで付いて来ましたが、露出計は生きていて、清掃すると程度もあまり変わらないので、希少なカメラですから、なるべく両方生かすようにしたいと思います。
ローライ35に構造が似ていますが、中身の設計は全く異なります。レンズは40mm f2.8と明るく、テッサータイプ。シャッターはペトリMS B 1/15~1/250 発売は1968年7月のようです。
それまでのペトリのイメージとは全く違う力作ですね。沈胴式のレンズは背面のダイヤルで繰り出します。レンズが出ていないとシャッターは切れない構造。
このように沈胴させます。シャッターボタンの外周がシャッターダイヤル。
でと、事前の検査で露出メーターとCdsは生きていることを確認しています。では、回路を疑いますが、電池室には電池の液漏れの形跡があり、ここが怪しい。尚、ピンセット先のレバーは巻上げと同調して動き、露出計の電源が入るスイッチを制御しているのですが、現状では電気接片に当たっていません。常に通電している状態。レバーは少し左側に曲げれば良いのですが、無理をすると折れる危険性があります。
電池室は金属製でオリンパスでしたらプラ製の電池室を接着留めがセオリーですが、こちらは2本のネジで取り付けられています。
接点を研磨して半田付けをしました。これで行けるかと思ったのですが、何故か線間の抵抗値が異常に高くメーターは作動しない。
オリジナルのリード線は途中で疑似断線の状態でした。では、芋ずる式で新線を通します。
エポキシ接着剤の劣化は仕方ないのですが、それにしても、触るとパラパラとミラーやガラスが取れて来ます。ファインダー内の表示が傾いていたのは反射ミラーの脱落でした。
露出メーターは復活、ファインダーはきれい、ヘリコイドグリスの交換をしてあります。あとはレンズとシャッター。
シャッターは問題なく清掃注油とレンズの清掃でおしまい。
二台目の方ですけどね。じっくり点検すると片側にしかない吊環が欠落しています。あぁ、だから部品取りなのか・・取りあえずホットシューを分離してトップカバーを洗浄します。
これ、PENの吊環ですけど、オリジナルより少し小さめ。オリンパス35系ぐらいが合いそうですけどジャンクが無いので今回はPENで行きます。オリジナルは吊環がクルクル回転するタイプですが、PENは回り止めの突起があるので、このまま取り付けられません。トップカバー側を削ってしまえば簡単ですが、それでは、オリジナルの吊環が調達出来た時に都合が悪いので、精密ヤスリでスペシャルワッシャーを作りました。その時、私のところに来ることは無いでしょうけどね。
ちょっと小さめですけど無いよりはマシ。
あ~、良く見るとジャンクだわぁ。過去にシボ革が剥がれて、それを瞬間接着剤で接着してあります。瞬間使うかなぁ?? シボ革の表面にも付着していてバリバリです。これは時間を掛けて瞬間接着剤のはがし液で溶かすしかありません。
全体の作業は同じなんですけど、こちらもファインダーの表示が傾くので反射ミラーを点検すると、やはり剥がれ掛かっていました。
レンズはPENのように曇りが発生している個体は見ませんね。ポツポツの白カビはあるようです。シャッターはペトリ製で、オーソドックスな配置と性能的に無理をしていない設計のためか、今でも安定した作動を示します。12時位置にCdsをセットしています。
シャッターダイヤルの回転をカム板に伝えるギヤ。歯の合マーク・が打たれています。
中級メーカーのペトリとしては良く出来たカメラですので、今でもファンの方が多いようですね。当時の販売量も多くなく現存数が少ないことから、希少なモデルとなっています。右はオリジナルのブラックモデルです。製造時期によって、巻上げレバー、鏡胴、ファインダー内表示(feetあり)など、細かな違いがあります。2台復活出来て良かった。
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