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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO 疑惑の3rd ダイバーの巻

2016年09月07日 19時28分11秒 | ブログ

次もダイバーですが、三代目のダイバーと言うことで「サードダイバー」と呼ばれている6309-7290です。この型番は海外製のモデルのようです。セイコーダイバーに就いては、マニアさんのサイトで「マニアやよほど好きな人以外は手を出さない方が良い」と書かれている通り、今回の個体はいろいろと怪しくて問題がありそうですよ。まず、ベゼルリングにクリック感がなく、「ヌルッ」と回るので、もしやと思って分解してみると・・カシメられているはずのスチールボールが無くなっていて、なんと、両面テープで貼り付けてあります。やれやれ、カメラの世界だけでなく、腕時計の世界にも、とんてもない人がいるようです。ちゃんと直せよ・・

仕方がないので、規格のボールを研磨してサイズを合わせてセットします。ベゼルプレートの接着も外れて来ました。メロメロやん。ベゼルリング自体も、前回の6105のように抜け止めのリングが無く、ベゼルと本体との嵌合のみで組み立てる構造です。これでは、何度もベゼルを外すと緩くなって脱落してしまうと思うのですが・・コストダウンですかね。

めでたくベゼルがセット出来ました。クリックも「カチッ」と歯切れの良い感触です。

 

機械は6309Aでシンガポール製のようです。特に特徴も無いセイコー5DXと同様の機械なので(ハック機能なし)、組立は割愛です。で、ケースから機械が中々取り出せず変だなぁと思いましたら、文字板の取付け足がなく、樹脂リングと機械に接着されていました。文字板もリプロと思われますが、何故、足を取り去ったのかは不明です。足が無いと位置決めがずれて、インデックスの位置が合わなくなるのです。右にチラッと見えますが、このモデルはリュウズはねじ込み式で、ネジを緩めるとバネ機構によってリュウズが出て来ますが、巻き芯が頻繁に緩んだと見えて、巻き芯のネジ部をヤスリで平らに削り、そこをペンチで強引に締め込んだため、リュウズの表面に「出べそ」として盛り上がっていました。ほんと、センスのない人は何をしてくれるやら・・

自動巻き機構のマジックレバーを抑える白い樹脂も、2つのネジ穴はあるものの、ネジは無くて接着されています。これでオリジナルなのでしょうか?

 

機械の精度もダメでしたね。メインスプリングとヒゲゼンマイが良くないようです。まぁ、何とか調整して・・

 

裏蓋に付いているパッキン。これ大き過ぎで太過ぎでしょう。神経が分かりませんね。フラットパッキンに交換します。

 

最後にベゼルプレートをインデックスに合わせて貼ります。文字盤の足が無いため、中心軸のセンターが出ていないのでインデックスが微妙に寄ってしまうのです。

 

その他、リュウズ頭の研磨などをして完成です。文字板と針はリプロでしょう。サードダイバーでも後期型のため、ケースはスリムになっていて近代的?に見えます。気になるのは風防ガラスがフラットで、ベゼルから一段低くなっています。社外の風防を取り付けてあるのでしょうかね。

右端は私所有のレディース用ダイバーの2205-0760です。ずいぶんとサイズが違いますね。個人的には、やはり左端の植村ダイバーが好きですね。しかし、指摘されていた通り、オークションに出品されている個体は、オリジナル性や状態に疑問がある物が多いようですから、素人さんはあまり手を出さない方が良いと思います。

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