2台の同じく30万台のPEN-S 2.8が来ています。2台を使ってなるべく程度の良い個体を作って欲しい。とのご依頼です。私の考え方としては、どちらかをベースとして、程度の良くない部品は交換するということにしたいと思います。画像は、裏蓋の劣化モルトの付着を清掃してみると・・あぁ、ダメだぁ。塗料が侵されていて剥離してしまいます。リペイント作業でしたら問題は無いのですが、オリジナルの仕上げですから、もう1台の本体を使うことにします。
ベース採用したこちらの個体にもいろいろと問題はあるのです。まず、トップカバーの吊環部の陥没。駒数ガラスのクラック。陥没は修正。駒数ガラスは交換とします。
今度は裏蓋です。採用した本体に付属の裏蓋は上のもの。良く見てくださいよ。開閉キーのストッパー(ダボ)がカシメ不良により脱落紛失していて、適当なネジを締め込んで代用としてあります。じゃ、もう一つ(下)の方は? 梨地メッキのキズがありますね。さてどうするか・・
この頃(#3389XX)のシャッターは設計変更前で、真鍮ネジで組む構造ですが、ピンセット先のロックレバーの作動がスムーズでない個体がありますが、この個体も同様です。軸内径の研磨やスプリングの位置を微妙に調整をして改善します。
シャッターの摩耗は少なく、作動は安定しています。
裏蓋は梨地メッキのキズありを選択しましたが、長期放置機は劣化したモルトに接触して塗膜が侵されてアルコール拭きで落ちてしまいます。補修のタッチアップをしておきます。
その他、細かな部品は程度の良い方を選択しますが、ピンセット先のシューもダメですね。上からの圧力により変形をしています。曲げ加工品ではないため、曲げを修正しようとすると折れてしまいます。
いろいろあって、良好な部品で仕上げた個体の完成です。一見同じ程度に見えても、よくよく比較すると程度の差は必ずあるものなんですね。