世の中、ゴールデンウィークに突入ですね。旅行に出掛けていらっしゃる方も多いでしょう。あっ、そう。昨日、八王子の道路で私の前をヒュンダイのJM200という車が走っていましたよ。日本にもあるんだぁ。珍しいものを見ました。フュンダイはアメリカではホンダよりも売れているらしいですが、国内では在日の方も買わない(ベンツ)のだそうですね。で、連休だし、ちょっと遊んで古い時計をやります。セイコー、新10Bですが1948年(昭和23年)から製造されたモデルですが、この個体は裏蓋の彫刻から昭和26年に製造された製品のようです。10型でケースも余分に厚くないので非常に小さいですが、一般的なケースではなく、ウォーター・プロテクトなんだそうです。二重になっているだけで、汗に対しては若干の効果はあるかも知れませんが、防水効果はないと思いますけどね。二重ケースの隙間にワラのような枯れた植物が挟まっていました。風防の劣化は激しいですが、ケースはステンレスのため比較的良好です。ただし、巻いても振っても全く動きません。さて、動くようになるのでしょうか?
裏蓋には「贈 三橋委員 昭和二六、三 山武農調」と彫刻されています。カメラと同じで、名入は評価が下がりますので、私でも入手が出来るわけです。贈られた方の当時の年齢にも寄りますが、恐らくご存命ではないのではと思います。古い機械を治すということは、その方の人生に接するような気持ちがします。
百円玉より少し大きいというサイズですね。初期らしく、受けにきれいなコートドジュネーブの化粧加工がされています。
10型のスモールセコンドの秒針は抜くのに気を使います。分解歴はあるようですが、針には致命的なダメージはないようです。
すべて分解をして洗浄したところ。
では組んでいきますよ。幸い、あまり摩耗はしていないようです。
香箱は分解されて香箱フタの合わせ位置が合っていないのと、完全に嵌っていない状態でした。その他、地板と輪列関係の摩耗は思ったほど進んでいません。一度、分解掃除に出してそれ以後は使われなかったのかも知れません。とすると、50年ぐらいは動いていなかったことになりますね。
受けもきれいでしょ。さて、このぐらい古い時計は行き成り快調には動き始めてくれないのです。長いこと自分が時計であることを忘れていたかのように、ガンギやアンクルに注油をしていくうちに、ノソノソと動き始めます。超音波洗浄をしてもホゾに微細な腐食があるでしょうし、油も少しずつ回るうちに元気に動き出します。「あぁ、そうだ、俺は時計だったんだぁ」
調子が安定してテンプの振りも力強くなったところで文字盤と針をつけます。スモールセコンドは、短針と秒針の衝突を考慮してクリアランスを大きめに取っておく必要があります。
真鍮のインナーリング。特にメッキは施されていないようです。腐食を研磨してあります。
風防ガラスはペナペナなタイプを二重ケースで挟み込む構造です。いつも使っているVERLUXは肉厚なので、deluxe(インド製とか?)を使いますが、26.1mmが欲しいのですが規格にないので26.2mmを使います。
時代的には違うのでしょうけど、ラグ幅15mmのベルトが無いので、パリス環式ベルトに取り付けてみます。
冬になると洗浄で手が荒れて手湿疹のきたない手です。文字盤が古い10型と同様ですので馴染んでいますね。
おそらく農業関係の方の所有品だったのでしょう。戦後の食糧難のころで、農産物の増産は国策でしたからね。永い眠りから覚めて、これから少しずつ調子を取り戻していくと思いますよ。機械は羨ましい。次の修理の時には私はいないのでしょうね。