うちの近くの羽村市にお住いのご常連さんからコントロールレバー折れのFTの修理が来ていましたが、オーナーさんが新宿の中古街で見つけてこられた30万台のPEN-FTに急きょ作業を変更します。コントロールレバー折れの個体はちょっと可哀想・・で、巻き戻し軸が上がりません。これはラッチの飛越しがあって、噛みこんでいるためです。巻上げはガリガリ、露出計の針は10万台のように動きが眠いです。ハーフミラーの劣化も進んでいますので、保存状態は悪かったようです。
やっと裏蓋を開けて点検しています。巻き戻し軸の上下作動が渋くなると、裏蓋のラッチが曲がって本体側のラッチを飛び越してしまう現象で、知らずに使っている方も多いです。裏蓋を閉めた時、巻き戻しノブが上に動かない場合は飛び越しています。ラッチの強度も足りないのです。
取りあえず、すべて分解をして洗浄したところ。裏蓋のシボ革は泥水のような汚れが落ちました。未整備の委託品でしょうね。
基本的には、それほど消耗はなく、シャッターにも異常はありませんでしたが、とにかく保管(湿度管理)の悪い個体でした。チャージギヤの組み立ては間違いなく最後期型のものです。
スクリーンの端に擦り傷がありますね。ちょっと惜しい。プリズムホルダーはビス1本に変更されています。(孔加工も省略)すでにプリズムホルダーのスプリングも省略されています。まぁ、いらないけどね。個体によってはシャッターユニットと干渉している場合もありますから・・当然、シャッタースピードに影響はあったはずですが、そのまま良品で出荷されたものも見ますね。組立図上ではクリアランスはあるはずですが、実際は接触する個体もあるのです。
30万台の個体で、このハーフミラーの劣化は異常です。余程保管が・・
いつもは前からなので、今回は後ろから組立完成です。
FT本体は完成。露出計の感度が異常に低下していました。やはり電子部品ですから湿気が影響をしたのでしょう。付属の38mmを清掃しました。私のところに来る殆どの個体は汚れてピントリングのローレット部に手垢が詰まっています。本来はレンズの清掃ですが気分が良くないのですべて清掃をしてお返ししていますが、この個体は、拭き上げをすると黒い染料のようなものが付いてきます。どうも、委託に際して、少しでも程度よく見えるようにマジック様のもので剥げた部分を塗ったようです。また、絞りの色入れが抜けています。
色入れをやり直してあります。まぁ、それほど問題のない個体でしたが、保存の悪さが程度を落しましたね。裏蓋を閉めると、スムーズに巻き戻しレバーが上がってきます。
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