にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『レスラー』

2009年07月25日 | MOVIE
『レスラー』The Wrestler(2008/米)
監督:ダーレン・アロノフスキー。
出演:ミッキー・ローク。マリサ・トメイ。エヴァン・レイチェル・ウッド。

80年代。プロレス界でトップヒーローとして活躍した"ザ・ラム"ことランディ・ロビンソンは50歳を超えても白髪を染め、日焼けサロンに通い、ステロイド剤で筋肉を維持しながら毎週末場末のリンクに上がっていた。そんなある日ランディは試合後、心筋梗塞で倒れる。なんとか一命を取り留めるもののバイパス手術を施された彼に医師は二度とリングに上がれないことを告げる。プロレスを諦めるしかないランディは馴染みのストリッパー、キャシディの助言で長年会っていなかった娘ステファニーの元を訪れるが、あっけなく拒絶される。しかし何とか娘との関係を修復し、プロレスラーではない人生を歩もうとするランディだが・・・。

冒頭、延々とランディの背中を追いかけるカメラ。最初はそれがなんだか不思議だったのですが、そのカメラの動きのドキュメンタリーっぽい雰囲気がだんだん映画とマッチしてくる。自分の選んだ道をただただ不器用に生きている男。見ていてすごく切なくなる。この主人公ランディの生き方を理解できるか?と言われると申し訳ないが全く出来ない。だけど否定も出来ない。ランディがほのかに想いを寄せるストリッパーのキャシディの気持ちが案外全女性の気持ちなんじゃないかな?なんて気がする。人がよくって優しくって友人としてはいい男であろうランディ。そしてその不器用さ故にどこか放っておけない。娘ステファニーへのプレゼントの洋服を選ぶシーンが秀逸だ。どう考えたってそれは喜ばないだろう?な趣味の悪い緑の服を選びステファニーのSだと服についたワッペンを見て喜ぶランディ。「いや・・・それは・・・」と言いたげなキャシディの表情が丸々ランディに対する気持ちを表現しているようだった。
ランディは過去の栄光に縋って生きているわけではない。彼はプロレスをすることでしか生きていけない。彼が彼である場所はリングの上しかないんでしょうね。
ネットでいくつものこの映画の感想を読んだのですが、その中にあった一言がすごく私の心を捉えた。
"ランディは、それ以上でもそれ以下でもないランディの人生を選んだ"
この作品を観て流れ出る涙の訳は、悲しさでも憐憫でもない。純粋さへの賞賛なのかもしれない。

-2009.7.10 シネマート心斎橋-

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