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今日の筆洗

2022年05月03日 | Weblog
一年でどの月が好きか。アンケートをすれば、五月は上位に入るそうだ。新緑のすがすがしさや過ごしやすい気候が五月の人気の理由か▼人気の五月なれど、どうも今年はすっきりせず、肌寒い日が続く。そんな中で迎えた憲法記念日である。こんな句がある。<憲法記念日天気あやしくなりにけり>大庭雄三。あやしいのは天気ばかりではないか。気になるのは憲法改正をめぐる動きである▼ロシアによるウクライナ侵攻が改憲論議のテコになっている印象がある。万が一にもわが国が攻撃を受けた場合、現行憲法で国民を守り抜くことができるのか−。世界を震え上がらせた悲劇と不安を、そのまま武張った改憲に結び付けようとする動きがあることは否定できまい。敵基地攻撃能力や防衛費の大幅増など憲法のうたう平和主義とは色合いの異なる議論も進んでいる▼イソップにこんな話がある。イノシシが熱心に自分の牙を研いでいた。猟師の姿は見えぬ。危険もない。キツネがなぜ牙を研いでいるのか尋ねるとイノシシはこう答えた。「理由がある。危険に襲われた時には研いでいる暇がない」▼なるほど、万が一には備えたい。けれども牙を研ぐイノシシを見れば敵もまた身構え、敵意を一層燃やしはしまいか▼改憲の動きや専守防衛の範(のり)を超えかねない今の議論は何を招くだろう。怖がりな性分はそちらの方が心配になる。
 

 


今日の筆洗

2022年05月02日 | Weblog
<這(は)へ笑へ二つになるぞけさからは>。小林一茶の有名な句で、娘のさとが二歳になるうれしさが伝わってくる。最初の子を亡くしている一茶にはよほどかわいかったのだろう▼さとは五月生まれ。現代の感覚なら誕生月の五月の句と考えたくなるが、文政元(一八一八)年の暮れの句と伝わっている▼当時は生まれた年を一歳と数え、その後は新年を迎えるごとに一歳を加算する「数え年」で年齢を表したので二歳になる正月が待ちきれず年の暮れに詠んだかもしれぬ。この句の数カ月後、さとが天然痘で亡くなっている事実が悲しい▼かつてアジアで広く使われた数え年の習慣がわが国から消えて久しいが、お隣の韓国では今も続いていたことを最近のニュースで知る。韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)次期大統領。この数え年を廃止して国際的に使用される満年齢を基準とする法改正を検討しているという▼韓国では数え年が一般的だが、生まれた年はゼロ歳で誕生日を迎えるごとに一歳を加算する満年齢、数え年から一歳を引いて数える方法と三つの年齢が混在しているそうだ。伝統とはいえ、ややこしいのは確かだろう▼法改正によって、満年齢が基準になれば、数え年の年齢から一つか二つ、若返るという人も出てくることになる。気分だけとはいえ、少々、うらやましい話でもあるか。最悪の日韓関係の方も良い方向に若返ればありがたい。