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今日の筆洗

2016年05月29日 | Weblog

 <ひろい川をみると/かなしみがひろがるのでらくになるようなきがする>。詩人八木重吉の「川」を思い浮かべて、おまえのことを考える。おまえにも「川」のように人の<かなしみ>に耳を傾け、<らくになるようなき>にさせる力があったんじゃないか。アジアゾウの「はな子」である▼二十六日、東京都武蔵野市の井の頭自然文化園で呼吸を止めた。穏やかな最期だったそうでほっとする▼国内最高齢の推定六十九歳。一九四九(昭和二十四)年、タイから来日した戦後最初のゾウである。戦後日本の大半を日本人と暮らしてくれた。世代を超えて、あのゾウと心で会話した人がいるだろう。東京に一時でもいた方なら、あの気難しくも人好きなゾウの思い出があるかもしれない▼焼け跡からの復興。高度成長期やバブル期をくぐって、ちょっとたそがれている今。この国に起きた変化を「はな子」はほめてくれるだろうか。ちょっと自信がない▼人を慰める力の源は順風満帆とはいえない一生のせいかもしれないと想像する。飼育員を死亡させる事故。人間不信に陥った時期もあると聞く。「悲しいのは、あんただけじゃない」。人の寂しさを分かち合い、そう言っていた気がする▼<象が踏んでも壊れない>。あの筆入れのCMに出たのか。あれなら買ってもらったよと笑いそうになる。そしてもういないのかとうつむく。


今日の東京新聞 主な内容

2016年05月29日 | Weblog

 

 

 

エドモンド・ヒラリー英称Sir Edmund Percival HillaryKGONZKBE1919年7月20日 - 2008年1月11日)は、ニュージーランド出身の登山家冒険家養蜂家

1953年5月29日午前11時30分(ネパール時間)、テンジン・ノルゲイと人類初となるエベレスト山頂到達に成功。まだそんなに昔でもない、のに驚いた。

存命中からニュージーランドの銀行券5ドル紙幣の肖像に採用されている。

「なぜエベレストに登るのか?」の質問に「そこにエベレストがあるから」(「そこに山があるから」は誤訳)と答えたと、しばしば勘違いされている[1][2][3]。これは英語圏においても同様である[4][5]。この言葉はジョージ・マロリーによるものである。ジョージ・マロリー#「そこにエベレストがあるから」を参照のこと。

 

サー・エドモンド・ヒラリー
Edmundhillarycropped.jpg
晩年のヒラリー(2007年3月撮影)
生誕 1919年7月20日
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
オークランド
死没 2008年1月11日(満88歳没)
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
オークランド
職業 登山家冒険家養蜂家
配偶者 ルイス・メアリー・ローズ (1953-1975)
ジェーン・マルグリュー (1989-2008)



今日の筆洗

2016年05月28日 | Weblog

 その劇作家によると、われわれ人間は<もう死んでいる>。しかも死んだことに気がつかぬまま、<ノコノコ歩いて行ってる>。三好十郎(一九〇二~五八年)の『冒した者』(五二年初演)のせりふである▼いつ、人類は死んだのか。広島で、原爆が使用された日だとその戯曲の殺人者はつぶやく。人類は越えてはならぬ一線を踏み越えてしまった。<もう後がえりする事はできないんです。してはならない事をしてしまったんです>▼その地をオバマ米大統領が訪れた。原爆使用当事国の現職大統領の訪問は初めてである。「歴史的」。その表現を否定はしまい。米国内の訪問反対論を押し切った大統領への敬意も禁じ得ない▼大統領があの日、きのこ雲の下にいた被爆者と言葉を交わしている。抱き合っている。その光景を見れば、嗚咽(おえつ)とともに大声で「歴史的」と口にしたくもなる▼されどである。人類が禁断の松明(たいまつ)を手に、突き進む破滅の道を想像すれば、ためらいもある。その表現を唇をかみしめて我慢したいのである▼大統領が広島で訴えた「核兵器なき世界」。その道は遠く、険しい。「歴史的」と歓喜の叫びを上げるのはそこにたどり着き、あれが契機になったと、この訪問を振り返ったときである。訪問が「核兵器なき世界」につながった日である。その言葉はまだ使えぬ。人類は今も死んだまま歩き続けている。