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今日の筆洗

2023年08月15日 | Weblog
英国で二〇〇八年、約千三百人が参加した「伝言ゲーム」が行われたそうだ。念のために説明すると、決まった文句を参加者が隣の人に小声で順に伝えていく遊びで、大抵はうまく伝わらず、最初の言葉は最後にはねじ曲がる▼二時間も続いた、「伝言ゲーム」の出発の言葉は「大きな変化を起こす」だったそうだ。これが途中で、「私たちは記録を破る」となり、最後は「haaaaa」という笑い声のような言葉になった▼終戦の日である。七十八年前の終戦の日から、日本はこの「伝言ゲーム」を懸命に続けているのだろう。戦争の恐怖と非情さ。非人間的な暮らし。それが終わり、人々が心から叫んだ最初の言葉は「二度と戦争はごめんだ」だったはずだ。その言葉を次の世代に丁寧に伝え続けてきた▼伝言は平和国家を築く「まじない言葉」でもあろう。他国との争いを厳に慎みたいと思い、戦争の気配から身を遠ざける。平和の効力があったと信じる▼言葉は今も正確に伝えられているか。心配なのはこれからだろう。戦後生まれが八割を超え、あの言葉を最初に伝えた世代がいなくなっていく▼ゲームのコツはよく聞くことだそうだ。戦争のむごさを伝える言葉を正確に聞き、次の世代にそのまま伝えたい。伝言を正確に受け取りながら、どういうわけか「避けられぬ戦争もある」とねじ曲げてささやく人もいるらしい。