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今日の筆洗

2023年08月03日 | Weblog

米連邦最高裁の歴史に残る写真がある。一九九四年、インドを訪れた当時のギンズバーグ、スカリア最高裁両判事がともに象に乗る一枚である▼お偉方の観光中の写真である。腹を立てる方も出てきそうだが、米国では好意的に受け取られ、今も何かと引き合いに出される。理由は写真の意味である。史上二番目の女性の連邦最高裁判事となったギンズバーグさんはリベラル派。スカリアさんは保守派。同性愛や中絶などをめぐって最高裁ではことごとく意見が対立する二人。その二人が仲良く象に乗る写真にこんなメッセージを見た。意見は違っても歩み寄ることはできる-▼比べるのが嫌になる。同じ観光地の写真でもエッフェル塔を背景にした自民党女性局長の写真が批判されている。塔をまねたポーズを取っていらっしゃる。やれやれ▼フランス研修中の一枚という。政治家が観光地で写真を撮ることを問題にする気はない。ばかげたポーズを取るのもご勝手になのだが、わざわざSNSで公開する気持ちがどうも分からない▼ちゃめっ気のあるところを見せたかったのかもしれないが、見る者がその写真から受け取るメッセージはどうしたって、「パリではしゃぐ私」である。物価高に苦しむ世間にあっては、どこかばかにされている気分にさえなる▼世論はどう受け止めるか。それが読めなかったのは政治家としてつらい。