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今日の筆洗

2022年09月27日 | Weblog
お彼岸は過ぎたが、ヒガンバナは今が見ごろか。各地から開花のニュースが届く▼<曼珠沙華(まんじゅしゃげ)どれも腹出し秩父の子>金子兜太(かねことうた)。ヒガンバナを背景におなかを出して遊ぶ子どもたちの元気な姿が懐かしい▼子どものころにヒガンバナに近づくな、と教えられた人もいるか。球根に毒があるせいだろう。「死人花」「地獄花」「幽霊花」。もちろん「曼珠沙華」というありがたい梵語(ぼんご)の名もあるが、おそろしい呼び名をたくさんもらっている。物騒な名でいたずらしないよう子どもに教えていたのかもしれぬ▼人が植えなければ、生えることはないのでヒガンバナはその周囲にかつて人が住んでいたことを物語る目印になるそうだ。大昔に誰かが植え、今も咲いている−。と思えば、赤い花が急にありがたく見えてくる。そういえば、飢饉(ききん)の際には毒を抜いて食べたとも伝わる▼人が植えなければと書いたが、米国のヒガンバナ第一号は誰が植えたか。ペリーと共に黒船で日本に来たノースカロライナ州出身の海軍の人らしい。花好きの妻のために三つの球根を日本から持ち帰った。球根は干からびていたが、植えるとちゃんと花を咲かせたそうだ▼米国では「復活(RESURRECTION)リリー」の別名があると聞く。葉が落ち、だめになったように見えながらも立派に花を咲かせるところから付いた。こっちの名はこわくない。