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今日の筆洗

2022年09月07日 | Weblog
 「マギー、マギー、マギー、アウト、アウト、アウト」。デモ行進などで参加者がリズミカルに唱える掛け声をチャントという。「マギー・アウト」は一九八〇年代の英国の有名なチャントである▼そのまま歌詞に使ったパンクロックの曲もあった。マギーとは当時のマーガレット・サッチャー首相。その掛け声はサッチャーの退陣を求めている▼母親とともに核軍縮を訴える行進に加わった少女もやはり「マギー・アウト」と叫んでいたらしい。その少女が英保守党の党首選で勝利し、次期首相となるリズ・トラスさんである▼大学教授の父親、看護師の母親のいずれも「左派」の支持者だという。本人も大学まではそうだったが、その後、保守主義に傾く。二〇〇一年、下院選に保守党から出馬した際は父親が反対したそうだ▼現在、信奉する人物はかつてアウトと声を浴びせたサッチャーさんとは変われば変わるものか。保守派への転向のみではない。英国のEU離脱についても当初は慎重だったが、賛成派に。サッチャーさんの「鉄の女」に対して「鉄のウェザーコック(風見鶏)」との声が出るのもこんな背景らしい▼党首選では予想以上の接戦となった。つまりは保守党の中も割れており、政権基盤は強くない。風見鶏は顔を常に風に向ける。インフレに燃料価格の高騰、ウクライナ対応。厳しい風がその顔に吹きつける。