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今日の筆洗

2022年09月08日 | Weblog
出版大手KADOKAWAは映像、ゲームなども幅広く手掛ける。前身は角川書店で、二代目社長の角川春樹氏が出版社の殻を破る。後にコカイン密輸事件で逮捕され社を去る人だが、一九七六年公開の『犬神家の一族』を皮切りに映画に進出した▼映画と原作の文庫本を一緒に売る商法。女優薬師丸ひろ子さんらを世に出した。いい作家を抱えて経営も良好な老舗の新潮社を目標にしていたが「並のやり方では追いつけない」と映画に賭けた。インタビューをまとめた伊藤彰彦氏の著書『最後の角川春樹』から引いた▼東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会元理事に、約六千九百万円を渡した贈賄容疑でKADOKAWA元専務らが逮捕された。大会スポンサーになることを希望。元理事に近い会社に後にコンサルタント料名目で払った金が賄賂とみられたらしい▼なんとしてでも五輪に手を広げたかったのか。実際にスポンサーになり、公式プログラムも刊行した。春樹氏の弟、歴彦(つぐひこ)会長宅も捜索された▼先の本で、春樹氏は映画進出の際、共同製作が持ち上がった業界大手に億単位の根拠なき「手数料」を求められたと明かす。起用したプロデューサーが「現場で裏金が必要」と経費を着服した話も語り、「因習が新規参入しようとする人を拒む」と怒った▼今回の支出に異を唱える人は、会社にいなかったのだろうか。