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今日の筆洗

2022年09月06日 | Weblog

大量のお灸(きゅう)に火をつけてカチカチ山のタヌキのようになりながら「熱くない」と歯を食いしばるのは「強情灸」。熱いなら熱いといえば良いのに、江戸っ子の見えがそれを許さない▼カネもないのに花見に出かけ、お酒の代わりに番茶を薄めた「お茶け」で済ますのは「長屋の花見」。懐具合が悪いのなら行かなきゃいいのに。年の瀬、近所にモチをついているふりをしようと女房のおしりをぺったん、ぺったんとたたくのは「尻餅(しりもち)」。まったく、落語の世界の住人は見えっぱりで、人からどう見られるかや体裁を気にする▼体裁を守る意地や無理から、笑いが生まれるのだろう。ロシアのプーチンさんというのも江戸っ子顔負けの見え坊なのかもしれぬ。話はロシア極東での大規模軍事演習「ボストーク2022」である▼ウクライナ侵攻後初の大規模軍事演習だが、相当、無理をしての実施とみられる。前回二〇一八年のボストークは三十万人規模で行われているが、今回は五万人程度とかなり縮小している。ウクライナ侵攻によるロシア軍の疲弊ぶりは明らかだろう▼ならば見合わせてもよかろうに、そこはやっぱり見えのようでアジア太平洋地域でのロシアの展開能力を誇示したいらしい。そしてロシアにはなお「余力」があるのだと▼演習は地域の緊張を高めるばかりで、この無理とやせ我慢から、笑いは一切、生まれない。