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今日の筆洗

2022年09月17日 | Weblog
田中角栄元首相はまめに葬儀に出た▼通産相時代のある朝、関係者の葬儀が日程に入っていないことを秘書官にただすと、大事な審議会があるためだという。「今日がだめならなぜ昨日、お通夜の日程を組まなかったのか」と言って急きょ、審議会前に葬儀に駆けつけた▼意に沿わぬ日程を作った秘書官にこう説いたという。「これが葬式でなくて結婚式だったなら君の判断は正しい。新郎新婦にまた日を改めて会いにいき祝意を伝えればそれで問題ない。だが、葬式は別だ。亡くなった人との最後の別れの機会だ。二度目はない」(前野雅弥著『田中角栄のふろしき 首相秘書官の証言』)▼安倍晋三元首相の国葬を立憲民主党執行役員がそろって欠席する。国葬実施を国会に諮らず決めたことなどを批判している▼角栄氏に限らず、人間関係で生きる政治家は葬儀を重んずる。自民党には「意見の相違はあっても、出るべきだ」との声があるようだが、出られない形にしたのは岸田首相と立民は譲らないだろう▼角栄氏は自民党が野党だった約三十年前、疑獄事件の被告のまま逝った。内閣は葬儀に関与せず、自民党・田中家合同葬が営まれた。当時の記事によると細川護熙首相や衆参議長、政敵だった福田赳夫元首相、村山富市社会党委員長も参列した。国葬より格落ちでも、そこに分断までは見られず、あるべき弔いと映る。