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今日の筆洗

2021年06月01日 | Weblog

「まったく、弱点がありません」。一九九五年の日本シリーズ開幕前、当時ヤクルトの野村克也監督は対戦するオリックスのイチロー選手についてスコアラーからこんな報告を受けた。この年のイチロー選手の打率は三割四分である▼頭を悩ませた野村監督は記者団にうそをつくことにした。「イチローの弱点は内角だ」。取材を受けるたびに言い続けた。こうしてイチロー選手に内角攻めを意識させた上で試合では外角を中心に配球。結果、その打撃をある程度封じ、ヤクルトは優勝した▼勝利のため、プレスを巧みに利用する監督もいれば、記者会見さえ苦手という繊細な選手もいる。テニスの全仏オープンに出場中の大坂なおみ選手。試合後の記者会見に応じない考えを示し、大会主催者と対立している▼意見は分かれるだろう。会見による選手の心の負担を考慮してほしいという大坂選手の主張は分からぬでもない。一方、すべての選手が会見に応じている以上、大坂選手の拒否は身勝手であり、競技の公平性も守れないという主催者側の言い分ももっともだろう▼このまま拒否するなら四大大会への出場停止につながる危険もあると主催者側は警告する。変革を求めた強烈なサーブに対して主催者側のリターンも厳しい▼大坂選手と主催者側はよく話し合い、打開策を探るしかない。こんなラリーをファンは望んでいない。