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今日の筆洗

2021年06月15日 | Weblog

 <花と咲くのもこの世なら/踏まれて生きる草だって/唄を唄って今日もまた…>。作曲家の小林亜星さんが亡くなった。八十八歳。テレビから流れる亜星作品を毎日、耳にして育った世代としてはその訃報が寂しい。また昭和が遠ざかる▼CM、歌謡曲。今でも歌える作品の数々。何から書き始めるか迷い、この曲を選んだ。冒頭の歌詞を読んでもピンとくる方は少ないか。CM曲の「酒は大関」である。歌ったのは加藤登紀子さん。よく流れていたのは一九七〇、八〇年代か▼作曲はもちろん、作詞も亜星さん。人生はなかなかうまくはいかない。それでも、<生まれたからにはどんとやれ><唄を唄って今日もまた>と人を励まし慰めている。そういうCM曲はなかなかお目にかかれない▼「CMソングはハッピーでなければならない」というのが持論だったそうだ。「ワンサカ娘」「どこまでも行こう」や<金銀パールプレゼント>の「ブルー・ダイヤ」。なるほど「ハッピー」で、高度成長期の日本によく似合っていた▼大学の医学部に入ったが、音楽に熱中し、医師への道はきっぱり捨てた。「ワンサカ娘」は作曲家としての実績もないまま引き受けた。そして芝居経験ゼロで人気ドラマ「寺内貫太郎一家」への出演▼<生まれたからにはどんとやれ>。詞の通り、人生を楽しんだ「ハッピー」な作曲家とのお別れである。