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今日の筆洗

2021年06月16日 | Weblog

 ベケットの『ゴドーを待ちながら』。題名だけならゴドーが主役と勘違いするか。主役はもちろん、ゴドーを待ち続けるウラディミールとエストラゴン。ゴドーは出てこない。出てこないのだが、二人の会話によって観客は目に見えぬゴドーの大きな存在を感じる。そういう芝居だろう▼さて、この会議の「主役」は誰だったか。閉幕した英国コーンウォールでの先進七カ国首脳会議(G7サミット)である▼候補としては首脳宣言をそつなくまとめ上げた議長国のジョンソン英首相か。あるいは前任のトランプさんとは異なり、サミットを重視する姿勢を示した米国のバイデン大統領か▼いずれでもなく、「私が主役」のタスキをかけるべきはこの方だろう。中国の習近平国家主席である。無論、サミットには出席していないが、それほど大きな存在、あるいは脅威として会議の場に確かにいたのである▼首脳宣言には中国の海洋進出や台湾問題が明記された。途上国への十億回分のコロナワクチン支援にしても中国のワクチン外交に対抗する狙いがある。不穏な動きを強める中国に対して、一致して封じ込めを図る。その狼煙(のろし)を上げたのがこのサミットだろう▼言うべきことは言う。当然だが、これで中国が自重するかといえば期待できまい。敵対心をさらに強める危険もあろう。今後、必要なのは「主役」との対話と説得である。