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今日の筆洗

2021年06月03日 | Weblog

 宇宙空間での悲劇を描いた米映画「ゼロ・グラビティ」(二〇一三年)。事の発端は人工衛星が破壊された残骸。つまり宇宙ごみである▼映画ではこのごみが超高速で軌道を周回し、作業中だったスペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)を破壊する。無数の小さなごみが弾丸のように襲いかかってくる。宇宙ごみに破壊された物はやはりそのまま宇宙ごみとなる。まるでごみのねずみ算である▼おっかない映画を思い出したのはISSでの現実の出来事である。ISS搭載のロボットアーム「カナダアーム2」。これに宇宙ごみが衝突し、穴を開ける事故があったそうだ▼開いた穴の大きさはわずか五ミリ。とはいえ、アーム上の黒い穴の写真に肝を冷やす。物資の移動や修理、補給船のドッキングにも使う大切な腕である。幸いにも、アームの機能には問題がないそうだが、秒速数キロにも及ぶと聞く宇宙ごみである。もう少し大きなものだったら、その腕はどうなっていたか▼運用を終えた人工衛星やロケットなどの一部が宇宙ごみとなる。その数は十センチ以上のものが三万四千個、一ミリから一センチのものは一億個を超えると推定されるそうだ▼宇宙ごみの回収やごみを出さない取り組みを加速したい。名前はごみだが、それは衛星に重大な損傷を与えかねない凶器である。映画のせりふがよみがえる。「宇宙なんて大嫌い」