東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

まだ灯は消えない

2023年12月15日 16時12分18秒 | j24全日本

(以下ですます調ではないのですがご容赦ください。である調の方がいまの自分の率直な思いをお伝えできると思った次第です。)

 

 


 

総合7位。

6位とは1点差。5位とは5点差。

結果だけみればものすごく悪いというわけではないのかもしれない。立て続けに1位2位フィニッシュした一昨年と総合成績では同じ。

でも目指してきた場所ではない。狙っていた成績でもない。望んでいた終わり方でもない。

 

最終レースを残して3チームが同点で5位に並んでいた。

競っていたピンクキッス・ダボハゼを抑えきることが条件。

最終レース下有のなかやや上より、それもシエスタのリーバウに入れられてスタート。慌ててタック。まだ大丈夫。ダボハゼがだいぶ下で右海面に伸ばすのを見てそのまま右に伸ばす。ただ月光やシエスタは下のスタートからそのまま左へ。大丈夫、それまでのレースだって右のシフトを掴んできた、待てば右に振れる、そう信じたかった。

ただシフトはずっと左、振れ戻ってこない。上マーク前には左に伸ばした艇とは絶望的な差がついていた。

 

第7レース:ピンクキッス7位、仰秀9位、ダボハゼ12位

総合5位には前日3レースを欠場しながら予想通りの追い上げを見せた月光ダイアナ。総合6位のピンクには1点差で競り負けた。

リザルトを見れば5位は射程圏内だったようにも見える。たが実際には6位が現実的だった。5位以内のチームとの差はわずかではなかった。大きすぎた。惜しいようでものすごく大きな差があった。

 

この結果はもちろん悔しい。満足できない。でもそれ以上に最後の最後に一番良くないレースを作った自分が許せない。左にいかなければならない、このままではやばいと薄々気づいていたはずなのに、後ろばかり振り返って、後続艇ばかり気にして、盲目的に右を選んだ。リスクを取らないことが一番のリスクだとこの一年で学んだはずなのに、自分の判断が間違っていると認めることが怖くて、自分のエゴでレースを、レガッタを壊した。ブローチングした第3レースを除いて何とか耐えていた、1年間の皆の想いを、レースを自分がぶち壊した。1年間、いやもっと長い期間自分のことを辛抱強く信じ続けてくれたチームの期待に報えなかった。折りにつけて指導してくださった監督はじめLBの方々、船の輸送でお世話になったマリーナの方々、いつも練習に付き合ってくださった社会人チームの方々、大会運営してくれたマネージャー、そしてチームの、想いに、支援に、期待に応えられなかった。前入りして船底を磨いてくれたメンバーの時間を溶かした。毎回いいスタートを決めてくれ助けてくれたはずの後輩の、たった一度の失敗も挽回できなかった。動作をミスなくこなしてくれた後輩に、コースを引きやすいようたくさん情報をくれた後輩に、良い景色を見せられなかった。いい走りをしてくれた同期の、そして何より1年間ひとりでチームを導いてくれた先輩の、想いを裏切ってしまった。船の進路を預かっていた者として、不甲斐ない、本当に申し訳ない。ものすごく嬉しかったはずの4位フィニッシュが遠い昔のことのようだった。そっとしておいてくれた、濡れた頬を覗き込まないでくれた皆の優しさが痛かった。

 

でもそれだけではない。最終レースを5位という目標が射程圏内で迎えられることに、内心安堵としていた。何も成し遂げていないのに、落ち着いてはいけないはずなのに、安心していた。5位に絶対に入るという自分の向こう側で、目標を目指せる状態で最後のレガッタに臨めることに自信なんかないもう一人の自分が安心していた。そんな弱い自分が一番嫌だった。

 

もう一つだけ。とても悔しくて、情けなかったのに、本当に楽しかった。レースに出られないのに観覧艇で得た海面情報を共有してくれる後輩が頼もしかった。不甲斐ない自分を叱咤激励してくれる同期がありがたかった。コースを褒めてくれる先輩の言葉が嬉しかった。責任あるポジションを任されるプレッシャーに胸の高鳴りを覚えた。よいコースを引けたときの喜びを知った。今までの中で、圧倒的に悔しくて、最高に楽しい全日本だった。下位に沈み続けてレースをするのが怖かった去年は知らなかった、確かな悔しさ、楽しさ、そして微かな自信と希望を感じた。目標を達成できてないのに楽しいなんて競技者としてはたぶん正しくないし、甘いのかもしれない。でもこの1年間が本当に楽しかった。このチームにいられて幸せだった。だからこそ、1年間のチームの歩みを、自分の道のりを、結果で肯定できる自分でありたかった。

 


 

 

独りよがりの暑苦しい駄文になってしまいましたが、最後に。

日頃から様々ご支援くださるLBの方々、社会人チームの皆様、マリーナの方々、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

またこのような素晴らしい全日本選手権を開催してくださった関係者の皆様、ありがとうございました。

 

そして引退された先輩方。お二人の作るチームの雰囲気が大好きでした。くだらないことを言い合うどうでもいい時間(最後まで失礼な後輩でごめんなさい)が好きでした。お二人の安心感があって、陸でも海でも本当に居心地がよすぎて、本当にやりたい放題やってしまいました。未熟でたくさんご迷惑をおかけしました。またお時間のあるときはぜひいらしてください。ボケが聞きたいです。

 

 

チームに必要とされたい。このチームで世界に行きたい。大好きな皆と世界に行きたい。

その想いの灯は消えない。可能性がある限り信じたい。

 

残り1年、精進いたします。

 

 

東京大学運動会ヨット部

新4年 クルーザー班主務 

友成遼


決断と行動

2023年12月15日 00時00分00秒 | ラストイヤーにかける想い

お世話になっております。

東京大学運動会ヨット部、新4年の神田陸人です。

 

気づいたら4年生が引退し、自分たちが最高学年、3年という時の流れの早さと残り1年への責任をひしひしと感じながら重たいキーボードでリレーブログを書き進めています。

 

今年は誰が見ても間違いなくゼロからのスタート。

経験者は1人にまで減り、輝かしい成績だった近年に比べれば今は不十分であることは言うまでもありません。

それでも、前を向いて進むことができているのは過去にないほどたくさんの部員がいるからです。

そして、何より全員が向上心と熱い思いを持ってヨット部に真剣に向き合ってくれているからです。

そんな仲間たちへのコミュニケーションの場として、4年生だけにこのリレーブログという場が与えられている以上、ありのままを文字にすることが僕の使命だと感じます。少し長く、偏った内容になっているかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

 

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今のヨット部に足りないこと、それは決断力と行動力だと思う。

代替わり後、チーム内でたくさんの話し合いの場があった。そして、色々な方からお話を聞く機会もあった。

でも、一つの方向に定まって行動に移せていることがいくつあるだろうかー

 

 

 

 

 

新しいことを始める、高い目標を目指す、先の見えない未来への不安から何をするのにも難しい。

これをやったらこんなことが起こりそう、そんな懸念からなかなか決断に至らず、曖昧なまま進んできたことがたくさんある。

でも、僕は不安があるものこそ、逆に決断し取り組んでいくべきだと思う。

それをすればどんなことが起きるかがあらかじめ想定できている、そんな心強いことはない。

不安なことが事前にわかっているのだから、とりあえずやってみる、そしてその中でそんな不安が起こらないようにあるいはうまく向き合いながら行動していけばいい。

これまでにないチャレンジングなことを達成しようとしている以上、すべてがうまくいく方法などあるはずがない。だから、不安をなくそうとあらゆる方法を検討するのではなく、その不安と向き合い、それが起こらないように想定していくことにチームでの話し合いの意義があるのではないだろうかー

 

 

 

 

 

「勝つためには〜が必要だ」とよく言う。なら、勝っているチームはすべてそれをやっているのだろうか?

そうではない、勝つチームは、勝った時にそのおかげで勝てたと思えるくらいに、自分たちが決めたことに対して全員で取り組んできただけではないか。

 

勝つために必要なことは、勝って初めて現れる。

 

勝つための方法をどんなに考えても、決めたことに対して真剣に向き合い、後から振り返ってそれが勝つために必要だったと思えなければ意味がないのだ。

だから、正解は何か考え続けることよりも、これだけは全員でしっかりとやり通すという決断をすること、そして、その決断を後から振り返って良かったと思えるように行動をしていくことが何よりも大切だと思う。

チームで話し合い、ある程度考えた選択ならどれも間違いはない。良い選択かどうかは後から振り返ってはじめて分かるものだから、それを良い選択にできるように努力していくことが必要だ。

 

 

 

 

 

ここまで、決して考えるということが瑣末であるというわけではない。

ただ、考えたことはそれを決断し、行動してはじめて形になるものであり、一人一人が真剣に部のことを考えてくれているからこそ、もっともっと行動に変えて、みんなの考えや思いを実現していきたい。そして、そのためには決断力と行動力が必要ではないかということだ。

 

 

 

 

 

思えば自分もそうだった。

ヨット部に入部した時は正直何も考えていなかった。

軽い興味で試乗会に行き、部の雰囲気に惹かれて入部した。

もちろん、入部する時にはどんな大学生活になるか不安もあったけれど、ヨット部で3年経った今、そんな不安は全くない。

こんな充実した大学生活を送れているのは間違いなく、あの時の決断力と行動力があったからだ。

もちろん、たまにヨット部の時間とお金があったら他に何ができるだろうなんて考えることもあるけれど、そういう時は自分の努力不足を感じ、ヨット部という選択を良い選択だと思えるように行動を変えていかなければいけないと思う。

 

 

 

 

 

ラスト1年間。

未来への不安を嘆くひまがあったら、少しの可能性を信じ、決断し、行動していきたい。

そして、仲間たちにもそうであってほしい。

 

とりあえずやってみよう。

良い選択は選ぶものではなく、作るものだから。

 

1年後、ヨット部に入部するという決断が同期全員にとって人生で最高の選択になることを目指してー

 

2023.12.15

東京大学運動会ヨット部

2024年度 副将

神田陸人