大槻雅章税理士事務所

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№103 配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

2017-07-20 | ブログ
2017.07.01 配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

平成29年度の所得税法の改正で、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われました。この改正は平成30年分以後の所得税について適用されます。


(1)配偶者の給与収入の上限

所得控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限が150万円(合計所得金額85万円)に引き上げられます。

現行(改正前)の上限は103万円(合計所得金額38万円)です。



(2)配偶者控除(所法83)

合計所得金額が1,000万円を超える納税者本人については、配偶者控除の適用を受けることができないことになりました。

また、1,000万円以下の場合でも、配偶者控除額が3段階に逓減していく仕組みとなりました。表にまとめると以下のとおりです。


納税者の合計所得金額 <配偶者控除額>(老人控除対象控除額)
900万円以下 <38万円> (48万円)
900万円超950万円以下 <26万円> (32万円)
950万円超1,000万円以下 <13万円> (16万円)
1,000円超  < 0円> (0円)


(3)配偶者特別控除(所法83の2)

配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下に引き上げられます。現行(改正前)は、38万円超76万円未満です。

なお、現行(改正前)と同じく、合計所得金額が1,000万円を超える納税者本人については、配偶者特別控除の適用を受けることができません。

配偶者特別控除額は、納税者本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額の組み合わせに応じて最高38万円から最低1万円まで9段階に逓減していく仕組みとなりました。


(4)まとめ

夫の合計所得金額が900万円以下(=夫の給与収入が1,120万円以下)の場合は38~3万円、夫の合計所得金額が950万円以下(=夫の給与収入が1,170万円以下)の場合は26~2万円、夫の合計所得金額が1,000万円以下(=夫の給与収入が1,220万円以下)の場合は13~1万円というように、配偶者控除、配偶者特別控除の控除額は妻の所得だけでなく、夫の所得という新しい要件を加えて判定されることになります。

また、夫の合計所得金額が1,000万円超(=夫の給与収入が1,220万円超)の場合は、配偶者控除、配偶者特別控除のいずれも受けられなくなります。つまり、夫の合計所得金額が1,000万円を超えると、妻に所得があろうとなかろうと、夫の配偶者控除、配偶者特別控除は受けられなくなるのです。

さらに、社会保険上の「130万円の壁」は変更されていません。妻の年収が130万円を超えると、妻自身が社会保険(厚生年金保険・健康保険等)に加入して保険料を負担することになります。


(完)


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