2016.04.29 法人税:法人が支払いを受ける利子等に関する税制改正
法人が平成28年1月1日以後支払いを受ける利子等に関して税制改正があったので、今回はこれを解説します。
(1)法人の利子割の廃止
法人が平成28年1月1日以後支払いを受ける利子等に係る都道府県民利子割(預金利息等から特別徴収する地方税5%)が廃止されました(地方税法24①五)。
ただし、個人の利子所得等については、今までどおり、都道府県民利子割5%が分離課税されます。
対象となる預金は以下のとおりです。
①普通預金
②通知預金
③納税準備預金(租税納付以外の目的で払戻した場合のみ)
④定期積金
⑤定期預金
⑥外貨普通預金
⑦外貨定期預金
普通預金、通知預金、納税準備預金及び外貨普通預金については「平成28年1月1日以後」に支払いを受ける預金利息から特別徴収されません。
定期積金、定期預金及び外貨定期預金については「平成28年1月1日以後の満期時及び中途解約時」に支払いを受ける預金利息から特別徴収されません。
この改正により、平成27年12月31日までは、国税15.315%※+道府県民利子割5%=20.315%が徴収されていましたが、平成28年1月1日以降は、国税15.315%※のみが源泉徴収されることになります。
※平成25年1月1日から平成49年12月31日までは復興特別所得税(所得税15%×2.1%=0.315%)が課されるので、所得税と復興特別所得税の合計15.315%が源泉徴収されます。
(2)法人税からの所得税額の控除
次の①~④の利子に対する所得税額について、平成27年12月31日までは所有期間による按分計算が必要でしたが、平成28年1月1日以後は所有期間にかかわらず、その全額が法人税額から控除できるようになりました(法人税法施行令140の2)。
なお、利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資信託及び特定目的信託の収益の分配、割引債の償還差益などは、今までどおり、所有期間による按分計算が必要です。
①公社債の利子(国債、地方債、政府関係機関債、社債、金融債など)
②公社債投資信託の収益の分配(中期国債ファンド、MRF、MMFなど)
③公社債等運用投資信託の収益の分配(注1)
④特定目的信託の社債的受益権の収益の分配(注2)
(注1)
「公社債等運用投資信託」とは、証券投資信託以外の投資信託で、公社債、手形、指名金銭債権及び合同運用信託により運用するものをいいます。
(注2)
「特定目的信託」とは、不動産や金銭債権などを流動化するために、その保有者が信託銀行に拠出する信託契約のことで、信託の受益権を分割することにより複数の者に不動産や金銭債権などを取得させることを目的としています。
特定目的信託のうち「社債的受益権」とは、あらかじめ定められた金額の分配を受け取ることができる受益証券のことをいいます。投資家から見れば、固定金利の社債と同じ効果があるので社債的と表現され、社債の利子と同様の所得課税を受けることになります。
(完)
法人が平成28年1月1日以後支払いを受ける利子等に関して税制改正があったので、今回はこれを解説します。
(1)法人の利子割の廃止
法人が平成28年1月1日以後支払いを受ける利子等に係る都道府県民利子割(預金利息等から特別徴収する地方税5%)が廃止されました(地方税法24①五)。
ただし、個人の利子所得等については、今までどおり、都道府県民利子割5%が分離課税されます。
対象となる預金は以下のとおりです。
①普通預金
②通知預金
③納税準備預金(租税納付以外の目的で払戻した場合のみ)
④定期積金
⑤定期預金
⑥外貨普通預金
⑦外貨定期預金
普通預金、通知預金、納税準備預金及び外貨普通預金については「平成28年1月1日以後」に支払いを受ける預金利息から特別徴収されません。
定期積金、定期預金及び外貨定期預金については「平成28年1月1日以後の満期時及び中途解約時」に支払いを受ける預金利息から特別徴収されません。
この改正により、平成27年12月31日までは、国税15.315%※+道府県民利子割5%=20.315%が徴収されていましたが、平成28年1月1日以降は、国税15.315%※のみが源泉徴収されることになります。
※平成25年1月1日から平成49年12月31日までは復興特別所得税(所得税15%×2.1%=0.315%)が課されるので、所得税と復興特別所得税の合計15.315%が源泉徴収されます。
(2)法人税からの所得税額の控除
次の①~④の利子に対する所得税額について、平成27年12月31日までは所有期間による按分計算が必要でしたが、平成28年1月1日以後は所有期間にかかわらず、その全額が法人税額から控除できるようになりました(法人税法施行令140の2)。
なお、利益の配当、剰余金の分配、基金利息、投資信託及び特定目的信託の収益の分配、割引債の償還差益などは、今までどおり、所有期間による按分計算が必要です。
①公社債の利子(国債、地方債、政府関係機関債、社債、金融債など)
②公社債投資信託の収益の分配(中期国債ファンド、MRF、MMFなど)
③公社債等運用投資信託の収益の分配(注1)
④特定目的信託の社債的受益権の収益の分配(注2)
(注1)
「公社債等運用投資信託」とは、証券投資信託以外の投資信託で、公社債、手形、指名金銭債権及び合同運用信託により運用するものをいいます。
(注2)
「特定目的信託」とは、不動産や金銭債権などを流動化するために、その保有者が信託銀行に拠出する信託契約のことで、信託の受益権を分割することにより複数の者に不動産や金銭債権などを取得させることを目的としています。
特定目的信託のうち「社債的受益権」とは、あらかじめ定められた金額の分配を受け取ることができる受益証券のことをいいます。投資家から見れば、固定金利の社債と同じ効果があるので社債的と表現され、社債の利子と同様の所得課税を受けることになります。
(完)