大槻雅章税理士事務所

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№148 消費税:簡易課税制度選択の変更に係る特例

2021-06-13 | ブログ
2021.06.13

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者は、売上が減少したにも関わらず感染症対策のための設備投資等が増加して課税仕入れに係る消費税が増加しているケースがあります。そこで、簡易課税制度選択の変更に係る特例が設けられています。
また、課税期間開始後であっても消費税の課税事業者を選択する(やめる)こともできる特例も設けられていますが、今回は、簡易課税制度選択の変更のみを解説します。

(1) 簡易課税制度の不適用に関する特例

簡易課税制度の適用を受けるためには、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが原則です。
また、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、原則として、2年間は実額計算による仕入税額の控除に変更することはできません。
さらに、簡易課税制度の適用をやめる場合には、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。

これらの原則に関して、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合の特例」が設けられています(消費税法37条の2)。
今回、新型コロナウイルス感染症の影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認により、その被害を受けた課税期間から、その適用を受ける(又はやめる)ことができます。

(2) 承認申請手続

簡易課税制度の適用に関する特例を受けるためには、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内に「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」と併せて、「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

後日、所轄税務署長から「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例を承認した旨」の通知が届きます。 この場合は、簡易課税制度の2年間の継続適用要件は適用されません。

(3) 収入の著しい減少の要件は不要

上記特例は、消費税法37条の2に定められた簡易課税制度に係る災害特例であり、新型コロナ税特法による特例(新型コロナ税特法第 10 条)ではないため、事業としての収入の著しい減少(前年同時期と比べて概ね50%以上減少)があったという要件は必要ありません。

新型コロナ税特法第 10 条第1項
「一定の期間に事業としての収入の著しい減少があった」とは、令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち任意の期間(連続した1月以上のものに限る。この項において「調査期間」という。)の事業としての収入金額(この項において「収入金額」という。)につき、その調査期間の直前1年間における調査期間に対応する期間(調査期間に対応する期間がない場合は、令和2年1月以前でその期間に近接する期間その他調査期間の収入金額と比較する期間として適当と認められる期間)の収入金額(調査期間に対応する期間の収入金額が不明な場合は、調査期間の直前1年間の収入金額を 12 で除し、これを割り当てる方法その他適当な方法により算定した金額)に対して、おおむね 50%以上減少していると認められることをいう。

(完)