2014.11.03 民法判例:遺言者の死亡以前に死亡した相続人の代襲相続
「相続させる」旨の遺言により遺産全部を相続させることになっていた推定相続人が、遺言者の死亡前に死亡した場合には、当該遺言の効力について争いがあります。
今回紹介する事案は、
平成5年2月17日遺言者Aが「Aの遺産全部を推定相続人Bに単独で相続させる」という内容の公正証書遺言を作成し、平成18年6月21日にBがAより先に死亡、平成18年9月23日にAが死亡したというケースで、Bの子である代襲相続人Cと、Aの子である他の法定相続人Dが争ったものです。
代襲相続人CはAの遺産全部を相続できると主張しましたが、遺言からはずれた他の法定相続人Dは公正証書による遺言内容は効力を失ったと主張し、代襲相続人Cに対して相続財産である不動産の共有持分権の確認を求めました。
本件では、第一審が相続人D勝訴の判決を下し、控訴審では代襲相続人Cが逆転勝訴しましたが、最高裁で相続人Dの勝訴が確定しました。
最高裁は、「相続させる」旨の遺言は、遺言者が推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないとの判決を下しました。(2011.02.22最高裁判決、平成21年(受)第1260号)
この判決に従いますと、遺言者が代襲相続人に相続させる意思がある場合には、その旨を明記した公正証書遺言の作成をする必要があります。
ちなみに、代襲相続人C勝訴の判決を下した東京高判平成18年6月29日(H18(ネ)634号)では、
「代襲相続人が取得する相続分は相続人から承継して取得するものではなく、直接被相続人に対する代襲相続人の相続分として取得するものである。(中略)代襲相続人に相続させるとする規定が適用ないし準用されると解するのが相当である。」
「これと異なり、被相続人が遺贈をした時は、(中略)受遺者が被相続人よりも先に死亡したからといって、被相続人がその子に対しても遺贈する趣旨と解することができないものであるから、遺贈が効力を失うのである。」
と、「相続させる旨の遺言」と「遺贈」の違いを区別して判示しています。
(完)
「相続させる」旨の遺言により遺産全部を相続させることになっていた推定相続人が、遺言者の死亡前に死亡した場合には、当該遺言の効力について争いがあります。
今回紹介する事案は、
平成5年2月17日遺言者Aが「Aの遺産全部を推定相続人Bに単独で相続させる」という内容の公正証書遺言を作成し、平成18年6月21日にBがAより先に死亡、平成18年9月23日にAが死亡したというケースで、Bの子である代襲相続人Cと、Aの子である他の法定相続人Dが争ったものです。
代襲相続人CはAの遺産全部を相続できると主張しましたが、遺言からはずれた他の法定相続人Dは公正証書による遺言内容は効力を失ったと主張し、代襲相続人Cに対して相続財産である不動産の共有持分権の確認を求めました。
本件では、第一審が相続人D勝訴の判決を下し、控訴審では代襲相続人Cが逆転勝訴しましたが、最高裁で相続人Dの勝訴が確定しました。
最高裁は、「相続させる」旨の遺言は、遺言者が推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないとの判決を下しました。(2011.02.22最高裁判決、平成21年(受)第1260号)
この判決に従いますと、遺言者が代襲相続人に相続させる意思がある場合には、その旨を明記した公正証書遺言の作成をする必要があります。
ちなみに、代襲相続人C勝訴の判決を下した東京高判平成18年6月29日(H18(ネ)634号)では、
「代襲相続人が取得する相続分は相続人から承継して取得するものではなく、直接被相続人に対する代襲相続人の相続分として取得するものである。(中略)代襲相続人に相続させるとする規定が適用ないし準用されると解するのが相当である。」
「これと異なり、被相続人が遺贈をした時は、(中略)受遺者が被相続人よりも先に死亡したからといって、被相続人がその子に対しても遺贈する趣旨と解することができないものであるから、遺贈が効力を失うのである。」
と、「相続させる旨の遺言」と「遺贈」の違いを区別して判示しています。
(完)