2018.04.27 未収配当金の所得税額控除
今回は、法人が他の法人から配当金を受ける場合、収益の計上時期はいつか?配当金に係る所得税額の控除の時期はいつか?お問い合わせがありましたので解説します。
(設問)
A社はB社の100%子会社です。A社は2月決算、B社は3月決算です。A社は3月30日の臨時総会で剰余金の配当を決議し、併せて3月31日を配当の効力が生ずる日、4月1日以降に配当を支払う旨決議しました。B社は4月1日に受領した当該配当金を前3月期の確定決算で未収計上し、法人税法の受取配当金の益金不算入(完全子会社からの配当金は100%益金不算入)及び当該配当金に係る源泉所得税について法人税額から控除することが可能でしょうか?
(回答)
B社は未収配当金を確定決算で収益に計上すれば(ただし、未収配当金が通常要する期間内に入金されることが前提)、B社の前3月期の法人税額の計算上、受取配当金の益金不算入、および剰余金の配当に係る所得税額の法人税額からの控除の規定を適用することが可能です。
■配当金等の収益帰属の時期に関しては、下記1の法人税法基本通達2-1-27、同2-1-28のとおりです。
■未収配当等に対する所得税の控除に関しては、下記2の法人税法基本通達16-2-2のとおりです。
1.配当金等の収益帰属の時期
(1)収益帰属の時期の原則
法人が他の法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託及び特定目的信託の収益の分配、特定目的会社に係る中間配当の収益の分配の額(剰余金の配当等という)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の属する事業年度の収益とする(注1)。ただし、外国法人から受ける剰余金の配当等は、当該外国法人の本店又は主たる事務所の所在する国等の法令に定めにより当該剰余金の配当等の額が確定したとされる日の属する事業年度の収益とする(法人税法基本通達2-1-27)。
剰余金の配当の場合・・・当該配当の効力を生ずる日(注2)
利益の配当又は剰余金の分配の場合・・・社員総会等で当該利益の配当又は剰余金の分配に関する決議のあった日(持分会社にあっては定款で定めた日)
(注1)
法人が、配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する事業年度の益金の額に算入しない。
(注2)
剰余金の配当を決議した株主総会で、配当金支払いの効力が生ずる日も定めなければなりません。上場会社の多くは、総会での配当決議の翌日となっていますが、その決まりはありません。
(2)収益帰属の時期の特例
法人が他の法人から受ける剰余金の配当等の額でその支払のために通常要する期間内に支払を受けるものにつき、継続してその支払を受けた日の属する事業年度の収益としている場合には、2-1-27にかかわらず、これを認める(法人税法基本通達2-1-28)。
2.未収配当等に対する所得税の控除
法人が各事業年度終了の日までに支払を受けていない利子及び配当等を当該事業年度の確定した決算において収益として計上し、当該利子及び配当等につき納付すべき所得税の額を当該事業年度の法人税の額から控除し、又はその控除しきれない額に相当する所得税の還付を請求した場合には、その控除又は請求を認める(法人税法基本通達16-2-2)。
ただし、利子等については当該事業年度終了の日までにその利払期の到来しているものに限る。また、配当等についてはその支払のために通常要する期間内に支払を受けることが見込まれるものに限る。
(完)
今回は、法人が他の法人から配当金を受ける場合、収益の計上時期はいつか?配当金に係る所得税額の控除の時期はいつか?お問い合わせがありましたので解説します。
(設問)
A社はB社の100%子会社です。A社は2月決算、B社は3月決算です。A社は3月30日の臨時総会で剰余金の配当を決議し、併せて3月31日を配当の効力が生ずる日、4月1日以降に配当を支払う旨決議しました。B社は4月1日に受領した当該配当金を前3月期の確定決算で未収計上し、法人税法の受取配当金の益金不算入(完全子会社からの配当金は100%益金不算入)及び当該配当金に係る源泉所得税について法人税額から控除することが可能でしょうか?
(回答)
B社は未収配当金を確定決算で収益に計上すれば(ただし、未収配当金が通常要する期間内に入金されることが前提)、B社の前3月期の法人税額の計算上、受取配当金の益金不算入、および剰余金の配当に係る所得税額の法人税額からの控除の規定を適用することが可能です。
■配当金等の収益帰属の時期に関しては、下記1の法人税法基本通達2-1-27、同2-1-28のとおりです。
■未収配当等に対する所得税の控除に関しては、下記2の法人税法基本通達16-2-2のとおりです。
1.配当金等の収益帰属の時期
(1)収益帰属の時期の原則
法人が他の法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、投資信託及び特定目的信託の収益の分配、特定目的会社に係る中間配当の収益の分配の額(剰余金の配当等という)は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の属する事業年度の収益とする(注1)。ただし、外国法人から受ける剰余金の配当等は、当該外国法人の本店又は主たる事務所の所在する国等の法令に定めにより当該剰余金の配当等の額が確定したとされる日の属する事業年度の収益とする(法人税法基本通達2-1-27)。
剰余金の配当の場合・・・当該配当の効力を生ずる日(注2)
利益の配当又は剰余金の分配の場合・・・社員総会等で当該利益の配当又は剰余金の分配に関する決議のあった日(持分会社にあっては定款で定めた日)
(注1)
法人が、配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する事業年度の益金の額に算入しない。
(注2)
剰余金の配当を決議した株主総会で、配当金支払いの効力が生ずる日も定めなければなりません。上場会社の多くは、総会での配当決議の翌日となっていますが、その決まりはありません。
(2)収益帰属の時期の特例
法人が他の法人から受ける剰余金の配当等の額でその支払のために通常要する期間内に支払を受けるものにつき、継続してその支払を受けた日の属する事業年度の収益としている場合には、2-1-27にかかわらず、これを認める(法人税法基本通達2-1-28)。
2.未収配当等に対する所得税の控除
法人が各事業年度終了の日までに支払を受けていない利子及び配当等を当該事業年度の確定した決算において収益として計上し、当該利子及び配当等につき納付すべき所得税の額を当該事業年度の法人税の額から控除し、又はその控除しきれない額に相当する所得税の還付を請求した場合には、その控除又は請求を認める(法人税法基本通達16-2-2)。
ただし、利子等については当該事業年度終了の日までにその利払期の到来しているものに限る。また、配当等についてはその支払のために通常要する期間内に支払を受けることが見込まれるものに限る。
(完)