大槻雅章税理士事務所

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№95 住民税:特別徴収に係る推進企業

2016-11-27 | ブログ
2016.10.31 住民税:特別徴収に係る推進企業

特別徴収とは、事業主(給与支払者)が毎月の給与を支払う際に従業員の個人住民税を給料から天引きし、従業員の居住する市町村に納入する制度です。

ところが、特別徴収をしていない事業主も多く、例えば兵庫県市町振興課によると、平成27年5月時点で対象となる約31万5千事業者のうち、約5千事業者が実施していません。その結果、給与所得者の特別徴収実施率は平成27年度で80.5%となり、まだ約38万人が普通徴収などで対応しているとのことです(神戸新聞2016.2.29記事参照)。

このような現状を踏まえ、平成28年度から全国の多くの市町村が特別徴収の徹底を図るため、所得税を源泉徴収している事業主で特別徴収を選択していない事業主を「住民税の特別徴収に係る推進企業」に指定し、特別徴収を強制適用しています。平成30年度以降は罰則規定も適用されるようです。

住民税の特別徴収に係る推進企業に指定された場合、市町村から事業主に「特別徴収に係る推進企業に該当する旨」の記載された通知書が5月31日までに郵送されてきます。

この指定を受けた事業主は特別の事情がある場合を除いて、普通徴収に変更することは認められず、今後は特別徴収を継続適用していく必要があります。

特別の事情とは下記のいずれかに該当する場合で、市町村に「普通徴収切替理由書」を提出することにより普通徴収に変更することができます。

1. 総従業員が2名以下の場合(他の市町村を含めた事業所全体の従業員の人数で、下記2~6を除いた従業員数)

2. 2ヶ所以上の事業所で働いており、他の事業所で既に特別徴収を選択している場合 

3. 毎月支払われる給与支給額が毎月納付する住民税額よりも少ない場合 

4. 給与の支給時期が不定期の場合(毎月支給されない場合)

5. 退職者又は退職予定者の場合

6.個人事業主の事業専従者の場合

※特別徴収の対象となる従業員は、前年中に給与の支払いを受け、かつ、当年4月1日において給与の支払いを受けている者で、アルバイトやパート、非常勤社員、役員等を含めた全ての従業員が対象となります。

※従業員数が常時10人未満である事業主の場合は、市町村に申請をすることにより年12回ある納期を年2回(半年に1回)にまとめて納付することができる制度(納期の特例)を利用することも可能です。

(完)