大槻雅章税理士事務所

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№179 法人税:外国子会社配当益金不算入制度

2024-01-04 | ブログ
2024.01.04

日本国内に本店または主たる事務所を有する法人(以下「内国法人」という。)が一定の条件を満たす海外の子会社(以下「外国子会社」という。)から剰余金の配当を受け取った場合の法人税法上の課税関係について質問がありましたので解説します。なお、№25で過去に解説した内容の一部に改正があります。

1.国際的な二重課税の排除

外国子会社からの配当を内国法人の益金に算入すると、外国での法人税と日本の法人税の国際的な二重課税が生じてしまいます。

そこで、従来は、外国子会社が外国で課税された法人税のうち、内国法人が受け取った配当に係る部分の金額を、内国法人が負担した法人税とみなして日本の法人税から控除するという間接外国税額控除によって二重課税を排除してきました。これは、外国で負担した外国法人税を日本の法人税の前払いとみなす制度でした。

これに対し、平成21年度の税制改正により、内国法人が外国子会社から受ける剰余金の配当等の額がある場合には、その剰余金の配当等の額からこれに係る費用の額に相当する額(剰余金の配当等の額の5%相当額)を控除した残りの95%の金額を益金の額に算入しないことができる制度が創設されました(法23の2①、令22の4①②)。これを外国子会社配当益金不算入制度といいます。

2.外国子会社の要件

外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社とは、内国法人の外国法人に対する株式等の保有割合が25%以上であり、かつ、その状態が剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続している外国法人をいいます。

ただし、外国子会社が所在する国と日本の間で締結した租税条約において、二重課税の排除に関して異なる比率を規定している場合には、その比率により判定されます。

3.外国子会社配当益金不算入制度創設の趣旨

従来の間接外国税額控除制度では外国子会社からの配当に対して日本の法人税率で法人税を課していたものが、外国子会社配当益金不算入制度では、外国の法人税率による課税で完結し、外国子会社からの配当に日本の法人税を課さないことによって、国際的な二重課税を排除しようというものです。

ただし、外国子会社で損金算入となる配当も外国子会社配当益金不算入制度の対象とすると、国際的な二重非課税が生じることとなります。そこで、平成27年度税制改正で、配当等の額の全部又は一部が外国子会社の所在する国等の法令において損金算入することとされている配当等の額については外国子会社配当益金不算入制度の対象となりません(法23の2②一)。

(完)