2011.07.30 所得税:相続人が受け取る年金保険の特別還付金制度
相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされる生命保険契約や損害保険契約等に係る年金受給権は、相続税法上、相続税や贈与税の課税対象となっています(相法3、相基通3-6)。
そこで、相続税や贈与税と所得税の二重課税を防ぐために、相続人等が年金として受給する生命保険金等のうち、相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象にならないとする最高裁判所の判決(平成22年7月6日)がありました。この詳細は№22で解説したとおりです。
この判決を受けて、過去5年以内(原則として平成18年分以後の年分)の各年分については、所得税が納めすぎとなっている者が所得税の還付手続(更正の請求又は確定申告(還付申告)を行った場合には、その者が指定した口座に還付金が振り込まれます。
※この還付手続きは、実際に相続税や贈与税の納税額が生じなかった者も対象となります。
このたび、平成12年分から平成17年分の各年分についても、納めすぎとなっている所得税に相当する額を特別還付金として支給する制度が創設されました。特別還付金の請求期間は、平成23年6月30日から平成24年6月29日までとなっています。
具体的には、「特別還付金請求書」に「特別還付金の額の計算明細書」、その他必要な書類を添付して所轄税務署に提出する手続きが必要となります。手続きや必要書類は事例により異なってきますので、詳細は大槻事務所にお尋ねください。
対象となる人は、平成12年分以後の各年分において、相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされる生命保険契約や損害保険契約等に基づく年金を受給していた者のうち次のいずれかに該当する者で、保険契約等に係る保険料等の負担者でない者です。
①年金型保険…死亡保険金を年金形式で受給していた個人
②学資保険…学資保険の保険契約者の死亡に伴い、養育年金を受給していた個人
③個人年金保険…個人年金保険契約に基づく年金を受給していた個人
※但し、過去5年以内の年分(原則として平成18年分以後の年分)については、特別還付金の請求手続きではなく、更正の請求や確定申告(還付申告)の手続きをすることになります。
(完)