2010.11.25 法人税/外国子会社配当益金不算入制度
平成21年度の税制改正で外国子会社配当益金不算入制度が新設されました。これにより、平成21年4月1日以後に開始する事業年度から、内国法人が外国の子会社から受取る配当の95%が免税とされています。
今回はこの制度について解説したいと思います。
(1)外国子会社配当益金不算入制度の仕組み
内国法人である親会社が外国に子会社を設立し、その子会社が現地で得た所得を配当として日本の親会社に送金した場合には、間接外国税額控除により国際二重課税を調整してきました。
間接外国税額控除とは、外国の子会社が納付した外国税額のうち、内国法人が外国の子会社から受け取る配当に対応する部分を日本の法人税から控除する制度です。
しかし、間接外国税額控除制度では控除限度額の範囲内でしか税額控除ができないので、日本の親会社は税務上最も有利となる額だけを外国の子会社から配当として受け取ることになり、税制が企業の経済活動を制限しているという批判がありました。
そこで、わが国経済の活性化の観点から、海外市場で獲得する利益をわが国に還流させるために、平成21年度の税制改正で、外国の子会社から送金される配当については、原則として日本では課税しないこととする「外国子会社配当益金不算入制度」が新設されました。
(2)外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社の持株要件
外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社とは、内国法人が配当の支払義務の確定する日以前6ヶ月以上継続して、外国子会社の発行済株式総数又は出資金額の25%以上を保有している場合です。
なお、一定の租税条約の規定によって、25%の持分比率が米国・オーストラリア・ブラジルの場合は10%、フランスの場合は15%に引き下げられています。
(3)益金不算入割合
外国子会社配当益金不算入制度においては、外国子会社から受け取る配当の95%が益金不算入額となります。
なお、配当を日本の親会社に送金する段階で外国の源泉所得税が課税されますが、この源泉所得税については税額控除の対象となりません。
(完)