大槻雅章税理士事務所

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№152 電子帳簿保存法の概要

2021-10-10 | ブログ
2021.10.10

紙の書類や帳簿を作成することは印刷や保管に無駄な作業や仕事を生み、企業の労働生産性を低下させる原因となります。そこで、電子帳簿を作成して保存することでペーパーレス化を実現すれば、会計・税務関係だけでなく、企業の内部統制やテレワークの実現にも有用です。

「電子帳簿保存法」は、帳簿書類を紙にかえて電子で保存できる制度です。これまでの電子帳簿保存法では事前の承認申請が必要でしが、令和3年度税制改正により一定の要件を満たせば承認申請なしに電子保存ができるようになります。
また、一定の要件は市販の会計システムやソフトウェアで十分満たされる程度に絞られているので、税務署に届出書を提出するだけで電子帳簿保存が可能になります。

令和4年1月1日以後に備付けを開始する国税関係帳簿については、令和3年の税制改正後の「電子帳簿保存法」が適用されます(令3改正法附則82①)。
すなわち期首が令和4年1月1日以降であることが必要となるので、最も早く改正法の適用が受けられる1年決算の法人は令和4年12月決算の法人となります。

ただし令和4年3月決算の法人が、令和4年1月1日から決算日の3月31日までに「改正法第8条第4項の規定の適用を受ける旨等を記載した適用届出書」を提出すれば適用を受けることが可能となります。

改正後の電子帳簿保存法は、全部で8条の条文から成り、次の5つを取り扱っています。
①国税関係帳簿の電子保存
②国税関係書類の帳簿保存
③上記①②のCOM保存(マイクロフィルムでの保存)
④スキャナ保存
⑤電子取引の取引記録の保存義務

上記①から④については従前は所轄の税務署長に承認申請して、承認を受けることで電子保存ができるという制度でしたが、令和3年度税制改正で不要となりました。
上記⑤は「データを電子的に保存し、帳簿書類を作成したシステム自体を保存」することです。

電子帳簿保存法の具体的な解説は次回以降とします。

(完)