大槻雅章税理士事務所

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№173 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

2023-07-31 | ブログ
2023.07.31

居住用財産を譲渡したときは、所有期間(注)に関係なく譲渡益から最高3,000万円を控除できる制度があります。これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。

(注)譲渡益に係る税金の基本的な仕組み
譲渡収入-(取得費+譲渡費用)=譲渡益
譲渡益×税率※=納税額
※(所有期間5年以内の税率は39.63%、5年超の税率は20.315%、10年超で譲渡益6,000万円以下の部分の税率は14.21%)

(1) 特例の適用を受けるための要件

① 居住用の家屋、又はその敷地、土地の上に存する権利を譲渡すること。なお、以前に居住していた家屋や敷地等の場合には、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

(注)家屋を取り壊した場合は、次の2つの要件すべてに当てはまることが必要です。
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を事業の用、貸付けの用に供していないこと。

② 譲渡した年の前年および前々年にこの特例または居住用財産の譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

③ 譲渡した年、その前年および前々年に居住用財産の買換えや交換の特例の適用を受けていないこと。

④ 譲渡した家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

⑤ 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

⑥ 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。特別な関係には、生計を一にする親族、同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

⑦ その他

※ 入居した年、その前年または前々年に、この3,000万円特別控除の適用を受けた場合には、住宅借入金等特別控除等の適用を受けることはできません。

※ 同じ年に相続した空き家と自宅とを売却した場合、どちらにおいても3,000万円の特別控除を受けられます。ただし、控除額は合計で3,000万円までとなります。

※ 店舗と自宅とが併用されている場合、居住の用途に使っていた部分に限り、3,000万円の特別控除を受けられます。 なお、家屋の90%以上を居住の用に供していた場合は全体が居住用とみなされます。

※ 共有名義の場合は、各人の持分毎に、それぞれ最高3000万円の特別控除を受けられます。

(2) 適用除外

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、次のような家屋には適用されません。

① この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋

② 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋

③ 別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋

(3) 提出書類等

この特例の適用を受けるためには、「譲渡所得の内訳書」を添えて確定申告することが必要です。

また、売買契約日に記載されていた住所とその家屋の所在地とが異なる場合は、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でその家屋を譲渡した人がその家屋を居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出する必要があります。

(完)

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