2022.10.27
所有者不明土地問題解消のための新制度として、相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日から、相続登記の申請義務化が令和6年4月1日から施行されます。
今回はこれらの制度の概略を説明したいと思います。
1. 相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは、相続又は遺贈によって土地(更地に限る)の所有権を取得した相続人が一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)によれば、
① 相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が承認申請をし、
② 法務大臣(法務局)が要件審査をして承認すれば、
③ 申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することにより、
④ 当該相続した土地が国庫に帰属するというものです。
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいという相続人のニーズと、土地が管理できないまま放置されると、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防できるという国の政策がマッチして創設されました(法務省令和4年9月29日ニュース)。
2. 相続登記の申請義務化
相続登記の申請義務化とは、相続で不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないというものです。
また、複数の相続人で遺産分割協議が成立したときも、不動産を取得した相続人は、その成立を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
法務局のホームページでは「正当な理由」として、
① 数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
② 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
③ 申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース
などが示されています。
(完)
所有者不明土地問題解消のための新制度として、相続土地国庫帰属制度が令和5年4月27日から、相続登記の申請義務化が令和6年4月1日から施行されます。
今回はこれらの制度の概略を説明したいと思います。
1. 相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは、相続又は遺贈によって土地(更地に限る)の所有権を取得した相続人が一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)によれば、
① 相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が承認申請をし、
② 法務大臣(法務局)が要件審査をして承認すれば、
③ 申請者が10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することにより、
④ 当該相続した土地が国庫に帰属するというものです。
相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」、「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいという相続人のニーズと、土地が管理できないまま放置されると、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防できるという国の政策がマッチして創設されました(法務省令和4年9月29日ニュース)。
2. 相続登記の申請義務化
相続登記の申請義務化とは、相続で不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないというものです。
また、複数の相続人で遺産分割協議が成立したときも、不動産を取得した相続人は、その成立を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由がないのに義務に違反した場合、10万円以下の過料の適用対象となります。
法務局のホームページでは「正当な理由」として、
① 数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
② 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
③ 申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース
などが示されています。
(完)