大槻雅章税理士事務所

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№110 民泊による所得の確定申告

2018-03-03 | ブログ
2018.03.03 民泊による所得の確定申告


訪日外国人旅行者が急増する中、急速に拡大しつつある民泊サービスについて、その健全な普及を図るため、住宅宿泊事業法(通称:民泊法)が平成30年6月15日に施行されます。そこで、今回は、サラリーマン(給与所得者)が民泊で収入を得た場合の確定申告について解説したいと思います。

国税庁は平成30年1月22日、ホームページで「平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」を掲載し、給与所得者のうち、その給与所得以外に20万円を超える所得を得ている場合(注1)には、確定申告が必要となるので申告漏れの無いように注意を喚起しています。

※(注1)確定申告が必要な場合
ア.1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合。
イ.2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合。

そして、次の所得については雑所得に該当するとしています。

■インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得。ただし、生活に通常必要な資産の売却による所得は非課税(確定申告不要)。

■ビットコインをはじめとする仮想通貨の売却等による所得(№107 ビットコイン売却の所得計算を参照)

■民泊による所得(注2)

※(注2)
個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく雑所得に該当するとしています。

雑所得の場合は不動産所得の場合と違い、
①青色申告者の青色申告特別控除額の適用がありません。
②赤字になったときに他の所得と損益通算ができません。
ただし、給与所得者が民泊を事業として行っている場合は、雑所得ではなく不動産所得と考えるのが妥当でしょう。

民泊が事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます(所基通26-9)。

①貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
②独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。


(完)