大槻雅章税理士事務所

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№146 所得税:所得金額調整控除

2021-04-03 | ブログ
2021.04.03

令和2年分の所得税から新しく給与所得控除額の改正(一律10万円の引き下げ、給与所得控除額の上限が220万円から195万円に引き下げ)がありました。

これにより、給与の収入金額が850万円を超える給与所得者への配慮として、所得金額調整控除という制度が新たに設けられました。

所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するというもので、所得金額調整控除は下記の1または2の二種類があります。

1.給与の収入金額が850万円を超える給与所得者の所得金額調整控除

その年中の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、次の①から③のいずれかに該当する居住者に係る総所得金額を計算する場合には、その年中の給与等の収入金額(当該給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の100の10に相当する金額を、その年分の給与所得の金額から控除します(措法41の3の3①)。

①本人が特別障害者に該当する者
②年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者

給与所得者が年末調整で上記の規定の適用を受けようとする旨、特別障害者に該当する旨、扶養親族若しくは同一生計配偶者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)等を記載した申告書(手続名は「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」)をその給与等の支払者に提出したときは、所得金額調整控除を年末調整で適用することができます(措法41の3の4)。

計算式
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=所得金額調整控除額(1円未満の端数切上)

2.給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

その年分の給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、当該給与所得控除後の給与等の金額及び当該公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超えるものに係る総所得金額を計算する場合には、当該給与所得控除後の給与等の金額(当該給与所得控除後の給与等の金額が10万円を超える場合には、10万円)及び当該公的年金等に係る雑所得の金額(当該公的年金等に係る雑所得の金額が10万円を超える場合には、10万円)の合計額から10万円を控除した残額を、その年分の給与所得の金額から控除します(措法41の3の3②)。

計算式
{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=所得金額調整控除額
(注)上記1の所得金額調整控除の適用がある場合はその適用後の給与所得の金額から控除します。

3.確定申告書への記入

令和2年分以降の所得税の確定申告書B第一表「収入金額等」「給与」「区分」に、上記1に該当する場合は「1」、上記2に該当する場合は「2」、上記1と上記2の両方に該当する場合は「3」と記入します。

(完)