大槻雅章税理士事務所

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№75 所得税:ふるさと納税

2015-03-04 | ブログ
2015.02.03 所得税:ふるさと納税

ふるさと納税とは、納税者が自分の居住地以外の自治体(都道府県、市町村)に対して寄付をした場合に、寄附金のうち2千円を超える部分について、一定の上限まで所得税・住民税が軽減されるという制度です。この制度の適用を受けるためには、寄附をした翌年に、確定申告を行う必要があります。

寄付を受けた自治体の多くが、寄付者に対して地元の特産品などを贈呈しているため、ふるさと納税とは、特典として特産品がもらえるお得な納税制度と捉えている方が多いようです。しかし、元来の法の趣旨は、都市と地方の税収のアンバランスを少しでも解消したいと思う納税者が、自分の生まれ故郷や応援したい自治体に寄付をすることができる納税制度なのです。

ただし、特産品贈呈の存在こそが、現在のふるさと納税ブームの火付け役になっており、制度の発展のために必要不可欠な要因になっていることも事実です。また、自己負担額2千円で寄付できる金額の上限を逆算し、ふるさと納税のメリットを最大限享受したいと思う納税者の心理も否定できません。

ふるさと納税の流れは以下のようになります。

1.自治体を選択し、寄付の申込みをする。
2.自治体に寄付金を納付する。
3.自治体から「寄付証明書などの名称の受領書」が送付される(特産品も到着)。
4.翌年に受領書を添付して確定申告する。

確定申告をすれば、都道府県・市町村に対する寄附金(ふるさと納税)のうち2千円を超える部分について、次の①②③の順番で所得税・住民税が控除されます。

① 所得税・・・(寄附金-2千円)を所得控除(=所得控除額×所得税率が軽減)

② 住民税(基本分)・・・(寄附金-2千円)×10%を税額控除

③ 住民税(特例分)・・・(寄附金-2千円)×(100%-10%(基本分)-所得税率)を税額控除

→ ①、②により控除できなかった寄附金(ふるさと納税)を、③で控除。

→ ただし、住民税所得割額の10%が上限。この記事を書いた後「2016年以降は20%が上限」に改正されています。


ポイント1

所得税の計算で寄付金は所得控除できるので、実際に軽減される所得税額は、(寄附金-2千円)×累進税率(H27年分以降は寄付者の課税所得に応じて5%から45%)となります。

ポイント2

住民税の税率は一律10%のため、住民税の基本分は(寄附金-2千円)×10%が税額控除されます。
さらに特例分として寄付金(ふるさと納税)のうち、住民税所得割額の10%を上限として税額控除が加算されます。
つまり、課税所得が多い寄付者の方が税額控除できる上限も高くなるという仕組みです。

ポイント3

納税者が自己負担額2千円で税額控除できる寄付金(ふるさと納税)の上限は、

個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×1.021)+2,000円 (2015年まで)となります。

※住民税所得割額とは、課税所得から算出した道府県民税と市町村民税の合計額のことで、均等割額は除きます。

この記事を書いた後「住民税特例控除は住民税所得割額の20%が限度」と改正されたので、2016年以降は下記の算式です。

個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×1.021)+2,000円 (2016年以降)

(完)