2022.08.14
所得税法において、事業所得と雑所得では「収入金額から必要経費を引いて計算する」ことは同じですが、事業所得の赤字は他の所得の黒字と損益通算できることに比べ、雑所得の赤字は損益通算できないことで異なります。
サラリーマンの副業のうち、アルバイトは給与所得となります。不動産経営で得た所得は不動産所得です。不動産の譲渡や株の売買で得た所得は譲渡所得です。仮想通貨の売買で得た所得は雑所得です。以上のような基準は明確ですが、ネットビジネス等の副業で得た所得が事業所得か雑所得になるかの一般的な基準は設けられていません。一般的には損益通算できる事業所得のほうが有利となります。また青色申告した場合の事業所得の赤字は3年間の繰越控除ができる点でも事業所得のほうが有利です。雑所得は青色申告できません。
所得税法35条は「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得」と規定し、「その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」を所得としています。
しかし、雑所得の「いずれにも該当しない所得」の範囲が曖昧なため、納税者と税務当局との間で争いが多いのが現状です。そこで、国税庁は8月1日から31日まで、「副業にかかる所得」や「新分野の経済活動に係る所得」についてパブリックコメントを募集しています。この目的は、所得税基本通達を改正して雑所得の範囲を明確化しようというものです。
所得税の法令解釈を一部改正する(案)では、まず、「その他雑所得」の範囲を明確化しています。その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得)の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生じる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生じる所得及び山林の譲渡による所得を除く)が含まれることを明確化しました。
次に、所得税の法令解釈を一部改正する(案)では、「業務に係る雑所得」の範囲を明確化しています。業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生じる所得が含まれることを明確化すること。また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること。その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うことを明確化しました。
このままの改正案なら、金額が300万円を超えない副業は課税庁から「事業所得」でなく「雑所得」として一律に扱われることになります。
(完)
所得税法において、事業所得と雑所得では「収入金額から必要経費を引いて計算する」ことは同じですが、事業所得の赤字は他の所得の黒字と損益通算できることに比べ、雑所得の赤字は損益通算できないことで異なります。
サラリーマンの副業のうち、アルバイトは給与所得となります。不動産経営で得た所得は不動産所得です。不動産の譲渡や株の売買で得た所得は譲渡所得です。仮想通貨の売買で得た所得は雑所得です。以上のような基準は明確ですが、ネットビジネス等の副業で得た所得が事業所得か雑所得になるかの一般的な基準は設けられていません。一般的には損益通算できる事業所得のほうが有利となります。また青色申告した場合の事業所得の赤字は3年間の繰越控除ができる点でも事業所得のほうが有利です。雑所得は青色申告できません。
所得税法35条は「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得」と規定し、「その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額」を所得としています。
しかし、雑所得の「いずれにも該当しない所得」の範囲が曖昧なため、納税者と税務当局との間で争いが多いのが現状です。そこで、国税庁は8月1日から31日まで、「副業にかかる所得」や「新分野の経済活動に係る所得」についてパブリックコメントを募集しています。この目的は、所得税基本通達を改正して雑所得の範囲を明確化しようというものです。
所得税の法令解釈を一部改正する(案)では、まず、「その他雑所得」の範囲を明確化しています。その他雑所得(公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得)の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生じる所得(営利を目的として継続的に行う当該資産の譲渡から生じる所得及び山林の譲渡による所得を除く)が含まれることを明確化しました。
次に、所得税の法令解釈を一部改正する(案)では、「業務に係る雑所得」の範囲を明確化しています。業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生じる所得が含まれることを明確化すること。また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること。その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うことを明確化しました。
このままの改正案なら、金額が300万円を超えない副業は課税庁から「事業所得」でなく「雑所得」として一律に扱われることになります。
(完)