梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

さすがに長く感じました

2010年03月28日 | 芝居
“27”日間の<御名残三月大歌舞伎>、無事に千穐楽を迎えることができました。
3部制興行でございましたが、出演する側としてはそれほど意識もせずに勤めました。ご覧頂いた皆様には、どのようにお感じになりましたでしょうか…?

『女暫』の腰元、痺れを切らして大惨事…ということもなく、なんとか正座の行はクリアできましたが、することがなにもないお役ほど難しいものはございませんね。そこに“いる”だけの自分が、どれだけ歌舞伎になっているか、その場にふさわしい空気を持っているか。雰囲気、匂い、味、そういうものはまだまだ足りません。ただただ、経験を積み重ねてゆくのみだと思います。

縫い(刺繍)が入った振袖の衣裳に、織物の帯。やはり着ていて気持ちのよいものです。せっかく良いお衣裳を着せて頂いているので、いつも以上に着方に注意して、すっきり綺麗に見えるように頑張ってみました。衣裳さんにもいろいろ伺いまして、今まで気がつかなかった自分の着方の癖がわかったり、うまく着るためのコツ(体型補正も含めて)を教えて頂いたりしましたが、無駄なくテキパキ形よく、というのはなかなか難しいですね! こだわろうと思ったらいくらでもこだわれる世界、これからも気をつけてまいります。

…まだまだ先、と思っていた<歌舞伎座さよなら>も、ついに本当のファイナル公演となってしまいました。
<御名残四月大歌舞伎>、『助六由縁江戸櫻』の“居残り新造”を、歌舞伎座での最後のお役として勤めさせて頂きます。
チケットは早々に入手困難な状況と伺っておりますが、大勢様のご来場を心よりお願い申し上げます!