『加賀鳶』の「お茶の水」の場で、百姓太次右衛門が“疝気”を起こして倒れるくだりがございますが、この“疝気”というのは、ものの本によれば、下腹部を中心としておこる痛みのこと。とありまして、原因としては、胃や腸の潰瘍、痙攣などがあげられるのですが、医学の発達していない昔のこと、なかなか根本治療はできず、冷えると症状が悪化するので、体を温める漢方薬や鍼灸で対処するくらいだったようです。
男性によくおこる病と考えられていたのが面白いですね。落語の『疝気の虫』も、その点をふまえた筋運びになっています。
これとは逆に、女性の持病の代表は“癪”でしょう。歌舞伎でも、いろんな演目で「持病の癪が起こって…」というくだりがございますね。
“癪”は胸から腹部にかけておこる痛み、さしこみのこと。とあります。ふ~む、疝気とは痛む場所が違うのか。原因としては胆石だとも腎臓結石だとも考えられているようですが、疝気同様、痛いという症状そのものについた名称ですから、特定の病気に限定できないのでございます。
しかしまあ、太次右衛門さんも疝気さえおこさなかったら道玄に殺されることもなかったでしょうし、『十六夜清心』の求女だって、癪にならなきゃ清心に命を奪われずに済んだのでしょう(求女は男で癪を起こす珍しいお役)。
ああ、病にはかかりたくないものです。
男性によくおこる病と考えられていたのが面白いですね。落語の『疝気の虫』も、その点をふまえた筋運びになっています。
これとは逆に、女性の持病の代表は“癪”でしょう。歌舞伎でも、いろんな演目で「持病の癪が起こって…」というくだりがございますね。
“癪”は胸から腹部にかけておこる痛み、さしこみのこと。とあります。ふ~む、疝気とは痛む場所が違うのか。原因としては胆石だとも腎臓結石だとも考えられているようですが、疝気同様、痛いという症状そのものについた名称ですから、特定の病気に限定できないのでございます。
しかしまあ、太次右衛門さんも疝気さえおこさなかったら道玄に殺されることもなかったでしょうし、『十六夜清心』の求女だって、癪にならなきゃ清心に命を奪われずに済んだのでしょう(求女は男で癪を起こす珍しいお役)。
ああ、病にはかかりたくないものです。