
定期診察日。
血液検査で合格したら、そのまま2回目の抗がん剤投与となる。
これまで血液検査でOKが出ず持ち越しになっていたので、またダメかも知れないとの気持ちの方が大きいのだが血液検査の結果が出ると同時に診察室に呼ばれて「今日は投与できますよ」と先生も嬉しそう。
「ベッドに空きがありますから、直ぐ化学療法室へ行ってください」との声。
体力の落ちている足を動かし急いで入った化学療法室はベッドが30もあるかと思う程に広い部屋。
男も女も関係なくカーテンで仕切られたベッドに横たわっている。
案内された私のベットは少し硬めで、床頭台に荷物を置いて枕元に本と眼鏡を用意。
名前を確認し点滴が始まると、あまり動けない。
多少動いても良いのだが点滴台に繋がれると従順なワンコのように動けなくなる。
後は、ポタポタと落ちる点滴とニラメッコ。色々な薬と交換されて合計4時間以上のワンコ生活。
本は2ページも読んだ所で枕の横に戻し、何か面白い番組でも無いかとスイッチを入れてみたテレビも直ぐに電源を落とした。
大体、この辺りで眠気に負けてしまう。
突然目覚めたのは屁をしたくなったから。
屁をする為にヨタヨタと点滴台を引きずってトイレへ行くのは面倒くさい。
職員も入れれば60人はいる広い部屋。犯人は分からないに違いない。
私は腹に力を入れないようにスッと出し、さり気なくタオルケットをパタパタ。
1回やると2回も3回も平気になる。
だから ポタポタ、スッ、パタパタの繰り返し。
皆、同志だ。カーテンの隣が好みの女性なら私が全部吸ってやる。
ただ、根性の悪そうな爺さんなら・・・・・・ゴメン、吸えない。