再選を決め、支持者らと万歳をする渡具知武豊氏(前列中央)=23日午後10時6分、名護市宮里の選挙事務所(大城直也撮影)
任期満了に伴う名護市長選が23日に投開票され、現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=が1万9524票を獲得し、1万4439票を得た前市議の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に5085票差をつけ、2期目の当選を果たした。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進する政権与党が支援する渡具知氏の再選を受け、政府は辺野古移設の強硬姿勢を維持することが確実視される。移設阻止を掲げる玉城デニー知事ら「オール沖縄」勢力は、同日選となった名護、南城の両市長選で敗北する厳しい結果となり、知事選に向けた態勢の立て直しを突き付けられた。
【動画】渡具知氏の当選の弁「辺野古は推移を見守る」
新型コロナウイルスの感染急拡大で「まん延防止等重点措置」適用下での選挙戦となり、両陣営の選挙運動も制約を受けた。投票率は68・32%で、前回市長選を8・6ポイント下回って過去最低だった。
名護市長選は辺野古移設問題が争点化してから7度目で、政府が辺野古沿岸部に土砂を投入してからは初の選挙となった。
一方で、コロナ禍の長期化が市民生活に深刻な影響を与える中、経済対策や子育て支援に対する有権者の関心の高まりが見られ、争点のうち基地問題が埋没する形となった。
渡具知陣営は自民、公明の組織力を発揮して支持層を固めた。米軍再編交付金を財源とした子育て支援の無償化事業などが、若年層を中心とした無党派層にも支持を広げ、1期目の市政運営に対する評価が見られた。
渡具知氏は辺野古移設については「県と国の係争を見守る」とする従来の立場を貫き、争点化を避ける戦略をとった。
岸本氏は辺野古反対のトーンを強めて浸透を図ったが、市民の関心の高い子育て支援事業の継続財源を明確に示せなかったことなどが響いた。
「選挙イヤー」の初戦として、知事選の前哨戦にも位置付けられる中、オール沖縄が支援した候補者の敗北で玉城知事の求心力低下も避けられない。
当日有権者数は4万9959人で、投票者数は3万4134人だった。うち無効票は172票、不受理・持ち帰りが1票だった。
(’22名護市長選取材班)
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