八重山商工2回戦突破。 おめでとう!
今朝の琉球新報には、
熱狂!「突っ走れ」
絶叫!「目指せ頂点」
の大見出しが踊って県民の喜びを伝へている。
だが、伊志嶺監督は手放しで喜んではいない。
「野球の神様に助けてもらってるような摩訶不思議な勝利。」
この言葉が全てを表わしている。
勝った八重山のヒット数が5本、負けた松代のヒットが8本。
5回の裏、八重山の攻撃の時、野球の神様は5回の攻撃で姿を現した。
1本のヒットも打たずに2得点。
いや、野球の神様は実際はその回の表に、既にヒーローを金城長靖に決めていた。
松代の攻撃。 1死。 ランナーは一塁。
打者が平凡なループ状のゆるいピッチャーフライを打った。
ピッチャー金城は難なく捕球すると思ったが、・・・瞬間ポトリと落とした。
「エラーだ!」。
そう判断した1塁ランナーは猛然と2塁に突っ走った。
雨で湿気を含んだグラウンドでボールは金城の意図がわかっているかのように目の前で静止していた。
金城は慌てず、ボールを1塁送球。
先ず打者は1塁でアウト。
2塁に向かった1塁ランナーも1塁に入っていた大嶺の素早い送球で二塁でアウト!
一瞬にしてダブルプレーが成立。
テレビの解説者は「金城は落球しても慌てなかったのが良かった」とヘンな誉め方をしていたが、解説者の目は節穴だった。
この場面金城の「慌てなかった」のを誉めるのではなく、金城の「頭脳プレー」を誉めるべきだ。
金城はわざと捕球せず、目の前に落球した。 打球の勢い、グラウンドの状態、・・・これらを瞬時に判断して。
金城長靖の頭脳プレーに、アッパレ!
アナウンサー何度も「金城はカット目を見開いて」云々の表現をしていたが、
無駄に目を見開いているんじゃない。
野球の神様はその瞬間、金城に取り付いたのだ。
その裏の攻撃場面でも(監督の)意図しない重盗で意図しないホーム・スチールを果たしたのも金城長靖だ! 野球の神様が後押ししたのだ。
そして松代の闘志を打ち砕いた最終回の3点ホームランも又しても金城長靖だ。
伊志嶺監督は「ベンチの指示は伝わらないし・・・豆腐にクギだ。」とご立腹のようだが、神のご加護のある選手たちには、それこそ「暖簾に腕押し」、「糠に釘」ですよ。
豆腐は釘など打たずにチャンプルーにしたほうが旨い。
それでもご立腹が納まらなければ,豆腐には鎹を取り付けましょう。
*
<高校野球>八重山商工、逃げ切る 松代に5―3
2006年8月13日(日) 20時12分 毎日新聞
第88回全国高校野球選手権大会は第8日の13日、2回戦第4試合は八重山商工(沖縄)が5―3で松代(長野)を降した。
八重山商工が逃げ切った。四回1死二、三塁から金城長と羽地が重盗を決め、先制。さらに敵失にも乗じて1点。五回は金城長が中越えに3ラン。当山、金城長、大嶺の継投で追い上げをかわした。松代は七回、松沢賢の適時打で1点、九回にも松沢賢の三塁打で2点を返し、粘りを見せた。
▽八重山商工・伊志嶺吉盛監督 あまりに内容が悪い。ベンチの指示は伝わらないし、大嶺もエースの自覚がない。気持ちを入れろと言ったのに、豆腐にクギだ。
▽松代・丸井多賀彦監督 序盤のチャンスで1点でも取りたかった。中断の影響は特にない。負けはしたけれど、ベストゲームでした。
◇八重山商工の玉手箱野球
次々に飛び出す仕掛け。速さで崩して力で仕留める。雷と雨による49分間の中断をはさんでも、外野席最上段の客すら立たせない八重山商工の玉手箱野球だった。
四回。先制のホームスチールを敢行した金城長の笑顔と対照的に松代バッテリーは、ぼう然としていた。「何がなんだか分からなかった」と捕手の松沢賢。
1死二、三塁から選んだ策は、ヒットエンドラン。打席の仲里は空振りしたが、三塁から本塁目がけて走り出した金城長を見た松沢賢は慌てて三塁に送球。三塁に戻りかけた金城長は、くるりと反転して悠々の生還。二塁走者の羽地も三塁を陥れ、重盗を記録した。
「うちは満塁でもヒットエンドランをかけますよ。打ちに行かせないと、自分から打たない。失敗を考えていたら何もできない」と伊志嶺監督。島育ちののんびりナインの尻をたたく策だ、と解説する。それができるのも、野球を通して幼いころから彼らの個性を知り尽くしているからだ。
動揺を誘うには、これで十分。次は大技。「のまれてしまった。相手の(攻撃の)速いペースに合わせさせられた」とマウンドの堀。五回は金城長が低めのボール気味の球をバックスクリーン右側に運んで3ラン。投げても2年生の当山を、三回途中から救援した金城長、大嶺の2人が140キロ台の速球でねじ伏せ、14三振を奪った。
金城長を中心に走攻守で圧倒。だが、「野球の神様に助けてもらってるような摩訶(まか)不思議な勝利。笛を吹けど踊らずですよ」と伊志嶺監督。まだまだ甲子園の常識を覆していくつもりだ。【藤野智成】
○…八重山商工の2年生左腕・当山は試合前日の朝、伊志嶺監督から先発を言い渡された。甲子園のマウンドに立つのは、センバツの練習以来。先輩たちから「自分たちが守っているから、リラックスして投げろ」と送り出されたことも力にした。三回、先頭打者に二塁打されたところで降板。「全然緊張しなかった。アルプス席の声援は鳥肌が立つぐらい快感だった。次はもっと長く投げてみたい」と41球を振り返った。
○…松代の全打点を挙げた1番・松沢賢。七回は一塁強襲の適時打を金城長から放ち、九回はエース大嶺との初対決。2死一、二塁で、「なんとかして、後ろにつなげたい」と打席に入った。2球目のカーブを右越えに運ぶ2点三塁打。「プロに注目される投手も同じ高校生。僕たちにも打てるんだ、と実感した」という。後続が倒れて逆転はならなかったが、「こんないい勝負が出来で、うれしかった」と納得の表情で話した。
★雷と雨で試合が中断 松代―八重山商工戦は三回表、2死二塁で松代の攻撃中、雷のため試合が中断。その後、降雨が続き、49分後に再開された。
[ 8月13日 22時46分 更新 ]