「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

土砂災害理解教育は中山間地の地域課題の文脈で

2014-10-29 23:54:40 | 地域防災
15時から2時間ほど、建設コンサルタント御三家の一角、
日本工営静岡事務所のTさんと、土砂災害理解教育について議論をする。
大変充実した時間であった。

Tさんとの議論まで、土砂災害理解教育については、防災の観点から、
つまり「地形」「雨」「土」「情報」「行動」がどのように絡み合うのかを説明すればよし、と、
どこかで思い込んでしまっていたようであった。

これら5つの要素に加え、Tさんからは、災害史についての言及も必要ではないか、との指摘をいただいたが、
それを含め、「安全な場所」を見抜き、その場所場所に応じたリスク認識と対応イメージの確立をすればよい、
と考えていた。

そのこと自体は間違いだとは思わない。
このテーマ自体、大変難しいことであることは百も承知。
それでも、取り組むべき価値があると思っていた。

だが、今日の2時間余で、より大きな文脈でモノを考えるべきではないか、
との示唆をいただき、「うーん!なるほど!」と。

言われて気付く「旅の坊主」も情けないところではあった。

津波防災については、防災だけではなく、
「なりわい」も含めたまちのあり方を考えてナンボ、という話を私自身がしていた。
土砂災害理解教育については、意図せずして視野が狭くなってしまっていたみたい。

高齢化・人口流出・社会資本の老朽化等々、
現在の中山間地が抱える課題が多いことは百も承知だったはず。
土砂災害のハイリスク地域は市街地ではなく中山間地。
とすれば、それらのより大きく根本的な課題抜きに防災対策だけを語っても意味が小さい、
そのことは十分わかっていたはず。

それこそ『撤退の農村計画』に集うような方々の問題意識も踏まえつつ、
まずは30コマ(1日取り×5日)分くらいの分量で、
教育プログラムのたたき台を作る必要がある、ということで、次の課題も明確となる。

静岡市教委の方々との次の打ち合わせまで約1ヶ月。
彼らへの逆提案ということになるが、
本気モードでの検討に耐えられるようなたたき台をつくらなくては、であった。

併せてTさんとは、2ヶ月ないし3ヶ月に一度、アフターの飲み会含みで、
中山間地のコミュニティの将来を考えるような、そのような集まりを仕掛けられないか、
ということで盛り上がる。

事は静岡に限る話ではない。こちらも全国に発信するに値する議論。
年内に1回くらい、集まって議論できることを目標に、
こちらも仕掛け始めなくては、であった。

Tさん、大変勉強になりました。ありがとうございました。